パート2.例のメールが届いてから 左右田正義[9:01−]

この世から去るのに『完璧な場所』で『最良の方法』を確かめなきゃいけないのに、ぼくのケータイはあの女のところ――とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすすめ文庫王国2009』でライトノベル部門の堂々1位を獲得した『15×24(イチゴーニイヨン)』シリーズを2巻まで連日更新。読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉を味わってみてください。(イラスト:箸井地図)

左右田正義(ソウダ マサヨシ) [09:01−09:32]

 まさしく緊急事態コード・レッドだぞ、こいつは!
 徳永とかいうやつの自殺が、じゃない。協力するって返信してきたやつらの交通整理のほうだ。
 実を言えばノブからの第一報の直後、おれは即座に友人たちに転送してた。じつに的確な判断だ。
 状況の説明と、自殺予告の本文。書きかけっぽいところはちょい修正して、全体的に、もっときちんとした『助けを求める予告』っぽくしておいた。

 みんな
 これまでありがとう
 永遠にさようなら
 今日でおわかれです
 ぼくはこのままでは壊れてしまいます
 だれかが支えてくれなければ

 なんでって、そのほうが協力者が増えるからだよ。緊急時なんだから、人数は多いほうがいいに決まってる。で、それを束ねるのがおれ。指示を出すのは一人に集中させる、これ常識。
 まずうちのクラスの二十人、それから中学ん時の仲間で信頼できそうなやつら。そしたら半分ぐらいは、
  ──なんかのイタズラじゃねえの?
って、すぐに返信がこなくなった。なんて薄情なやつらだ。基本的な『公』の精神がなってない。こういう手合いが日本をダメにするんだ。都内の一流エリート高でこれだもんな。犯罪が増えるわけだよ。
 他にも、
  ──警察に連絡したほうがいいんじゃない?
 とか言ってる奴らも。バカか。警察なんか信用できないつーの。ただでさえ年末は人手が足りないんだし。それに、おれたちで事件を解決するんじゃなきゃ、ヒーローになれないだろ。適当な理由をつけて『警察には言うな!』と返信しまくった。

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15×24(イチゴーニイヨン)link one せめて明日まで、と彼女は言った

新城カズマ

「なんで自殺しちゃいけないの?」とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすす...もっと読む

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