パート2.例のメールが届いてから 在所惟信[9:01−]

この世から去るのに『完璧な場所』で『最良の方法』を確かめなきゃいけないのに、ぼくのケータイはあの女のところ――とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすすめ文庫王国2009』でライトノベル部門の堂々1位を獲得した『15×24(イチゴーニイヨン)』シリーズを2巻まで連日更新。読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉を味わってみてください。(イラスト:箸井地図)

在所惟信(ザイショ ヨシノブ) [09:01−09:22]

 で、そしたら一〇分くらいのあいだに、メールものすごい数が届いちゃいまして……あれ見てたらきっと何これ! とか思ったはずですよ、エリさんも!
 あ、すいません。えーとですね、最初の遺書メールが届いたのは九時ちょうど、かな。びっくりして俺ソファからとびあがっちゃいまして(笑)。

 だってそうでしょ? いきなりクラスメートから『永遠にさようなら』『今日でおわかれです』って。転校とか引っ越しの時は、ふつうこんなふうに書かないし。いや、書くかもしれないけど、女子とかは。でも徳永はそういうベタベタ詩人みたいんじゃないですから。もっと真面目タイプなもんで。
 つまりこれは自殺ってことで。
 でも、どうして自分から死ななきゃなんないわけ? 残された家族の気持ちとか、世間がどう思うかとか……自殺だなんて! しようと思うやつの気が知れないですよ!
 しかも、書きかけみたいな手抜きの文章だったし。
(新手のジョーク?)
 ようやく思いついたのは、そんくらいでしたよ。そうだ、きっとそうにちがいないって。でなけりゃ意味わかんないでしょ。
 でも、もしジョークじゃなかったら?
(警察に連絡──して、これがイタズラだってことになったら、俺ってやっぱり共犯者になるんだろうか?)
 徳永ってのは、あーそっか、エリさん知らないんですよね。あ、すいません。あのですね、あいつは真面目で、優等生で、おとなしくて、先生のいうこと聞く素直なやつで。だからといって、イタズラをしないという保証もないですけど。
 逆にああいうやつのが「ふだんから問題もおこさない良い生徒で、どうしてこんな大それたことをしちゃったんでしょうね」なんて後からテレビのインタビューでモザイク越しに言われること多いんですよね。真面目で、おとなしくて、成績が良くて。ぴったりあいつのタイプじゃん。でしょ?
 あ、でも成績良いってのは違うか。こないだの中間試験は、ずいぶん落ち込んでたみたいだから。いや、前期の期末もか。あれ? 徳永って勉強できるほうだったよなあ? どっちだっけ。中学のころ上位だったのは印象にのこってるけど。中一の最初に「医学部志望です」なんて自己紹介して、別のクラスだった俺のところにまで噂がとどいてたし。──いつごろから聞かなくなったんだっけ、あいつの噂。
 えーとですね。
 ようするに誰であろうと、心の中のほんとのところはわからないってことですよ。うん。だからこそ外見が重要になるわけですし。みんなどこかで判断しなくちゃいけないわけですから。
 で、ともかくその時は、次にこう考えたわけですよ。
 そもそも、なんで徳永の遺書が俺のところに?って。

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15×24(イチゴーニイヨン)link one せめて明日まで、と彼女は言った

新城カズマ

「なんで自殺しちゃいけないの?」とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすす...もっと読む

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