第4回】この国を救うのは「グリード」か

真山仁さんと藤沢数希さんの対談もいよいよ最終回。まだ日本市場に魅力はあるし余裕もあると語る藤沢さんに対し、数十年先を見据えた場合このままでは厳しいと真山さんは国の将来を憂います。課題が多々あることがわかっていてもそれに対する改善が進まない日本の本当の問題点は何なのでしょうか?(構成:友清哲)

移民政策は日本を救うか?

— グローバル経済に目を向けるほど、日本の市場の先行きは暗澹あんたんたるものを感じます。お二人はこの点について、どうお考えでしょうか?

藤沢 でも、なんだかんだ言われていても、日本はまだまだ豊かですよね。治安もいいし、食べ物もおいしいし、失業率だって他国に比べれば低いほうです。相対的に見て、本当に困っている人の数は圧倒的に少ない国です。僕の身近にも、いわゆるニートと呼ばれる人がいますが、そこらのサラリーマンよりよほど楽しそうに暮らしていますから(笑)。

真山 ただ問題なのは、このままニートの数が増えすぎてしまうと、社会を支える人の数が足りなくなってしまうということですよね。今まさに、急速にではないけれど、緩やかにそういう状況に向かっています。

藤沢 それはその通りですね。日本経済の先行きを考えれば、ニート自体は肯定できるものではありません。

真山 今はこれだけ国が借金にまみれていても、銀行が国債を買ったりしているおかげで、なんとか回っています。でもこれは、いわば執行猶予中みたいな印象を受けます。このまま所得税の税収が減り続け、法人税も思うように徴収できない状態が続けば、国全体がシュリンクしていかざるを得ません。

藤沢 そうですね。実際、少子化は着々と進んでいるわけですし。

真山 個人的には、この狭い国土のなかで人口が半分に減ること自体は、別に構わないと思うんです。ただ、国を支えられる人の比率が低下していることを考えると未来はとても厳しい状況です。これはなかなか立て直せないですよね。

藤沢 少子化はどこの先進国でも起きている問題で、ヨーロッパやアメリカでは移民を受け入れることでそれをカバーしてきた経緯があります。というか、先進国のなかで移民政策を採っていないのは日本くらいのものですからね。

真山 気をつけなければならないのは、移民を積極的に受け入れたことで様々な問題が発生している国も多いということです。たとえば、移民を大量に受け入れたことで犯罪率が大幅に上がってしまった国があります。その背景には、もともとの住民と移民の間で貧富の差が広がり過ぎてしまったり、あるいは宗教の異なる人間同士が共存する環境が作れなかったりということがあります。結果、国としてのGDPも低下してしまうという、本末転倒な事態に陥った国まであるんです。日本の場合は、他国に比べて外国人に一線を引いている部分がまだまだありますし、やるなら相当時間をかけてやらなければ失敗するでしょうね。

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日本人に足りないのは「強欲」なのか?—真山仁×藤沢数希対談

真山仁 /藤沢数希

金儲けをしたいという欲望を持つのは悪いことなのか? 日本社会の論理にとらわれずに大企業に買収をしかけていく企業買収者・鷲津政彦の活躍を描きながら、そんな問いを投げかけ続ける経済小説が「ハゲタカ」シリーズです。シリーズ最新作『グリード』...もっと読む

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コメント

hal_31 遅ればせながら、面白かった。経済の何たるか、また勉強したくなってきた。 5年弱前 replyretweetfavorite

GotTerritory この対談全4回面白く読みましたー。。< 5年弱前 replyretweetfavorite

office_mayama 更新されました→  5年弱前 replyretweetfavorite