今回は東京・表参道の駅前を訪れます。ショップ、レストラン、ホールなどが入るビル「スパイラル」の1階カフェは、待ち合わせの定番スポット。わたくしもよく利用しますが、ここの楽しみは席に居ながらアートを楽しめること。カフェスペースを囲むようにして、展示スペースが設けられているのです。
いつもなら、スタイリッシュな作品が並んでいることが多いものです。が、いまはちょっと様相が異なりますよ。天井の高い空間いっぱいに、半透明の物体が広がっていて、何事が起きたのかと思ってしまいます。まるで人が寝静まっているあいだにこっそりと、巨大な虫や鳥がやって来て、繭か巣をつくってしまったかのよう。
しかしこれが、れっきとしたひとつの作品なのです。NUMEN/FOR USEというアートユニットによる「テープインスタレーション」。ユニット名に聞き覚えは、あまりないかもしれませんね。今回が、彼らにとって、アジアでの初個展となります。ふだんはクロアチアとオーストリアを拠点にする3人組で、1990年代後半から活動を続けています。