日本人の「フィジカル」は劣ってはいない

11月の欧州遠征で成果を上げた日本代表ですが、来年のブラジルW杯に向けて、さらにその先のW杯優勝という夢に向けて、まだまだ課題は少なくありません。その一つが「日本人はフィジカルが弱い」というもの。長らく支持されてきたサッカーファンの定説ですが、スポーツジャーナリストの中西哲生さんはそれに異を唱えます。「フィジカル」について日本代表のストロングポイントと、さらなる強化のヒントを中西さんの新刊『日本代表がW杯で優勝する日』(朝日新書)から紹介します。

 日本人はフィジカルが弱いとよく言われる。しかし、その「フィジカル」の定義はあいまいだ。身長差なのか、身体的なパワーなのか。あるいは走る能力か。しかし、この点についていえば、むしろ日本人の方が走れるかもしれない。特に、サイドの選手のアップダウンのような中距離ダッシュを何本も繰り返す走りは、日本人の方が優れている。アジリティーと呼ばれる機敏な細かい動きや、少し角度をつける動きについて日本人の能力が高いのも、ドイツで日本人が活躍していることで明らかだ。

 そう考えると、まずは体の小ささを言い訳にしないことが重要になる。逆に言うと子供の頃から、体格差を足し算にできるような考え方がほしい。

 そもそも子供の頃から、個々の成長のスピードなどで体格差やフィジカルの差というものは発生している。体格差の壁の中でどうプレーしていくか、早い時期から理解が養われた方が、大人になってもそれを苦にせずプレーすることにつながる。もし体が大きくなっても、それはそれでプラスアルファが生まれる。

 体の小ささをプラスにするポイントは、まずボールの持ち方がある。基本的に、体からボールを離さないことが重要だ。日本人は身体が小さく、プレーイングエリアが小さいので、ボールを体から離すと奪われてしまう可能性が高い。しかし、身軽さという日本人の特性を利用すれば、プレーイングエリアは小さいが軸を持たずに動くことができ、フットワークの良さを生かせる。大きい選手になればなるほど、プレーイングエリアは大きくなるが、体重が重い分、フットワークは落ち、横への対応は難しくなる。そこを突くのだ。

体格に起因するプレーイングエリアの小ささを武器にすれば、狭いスペースでもパスを受けて、ゴールを狙うことができる

 そして相手をかわすときに、タイミングとテンポを変えることも重要である。ただ単純にスピードで仕掛ければ負けることがある。そのため、かわす時にテンポの変化を使うことがキーポイントとなる。そこでタイミングとテンポの変化をうまく利用できれば、プレーイングエリアの広い選手もかわしていける。

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日本代表がW杯で優勝する日—列強に打ち勝つための提言

中西哲生

私たちは死ぬまでに日本代表がワールドカップトロフィーを掲げる光景を目の当たりにできるのか? その問いに確信を持ってイエスと答えるのが、テレビ朝日系「Get sports」などで論理的なサッカー解説でおなじみのスポーツジャーナリスト・中...もっと読む

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コメント

takurokoma そうだよね。というか、来年が楽しみだな〜[今なら無料!] 4年以上前 replyretweetfavorite

yaranchu 拝読いたしました。“@tetsuo14: [今なら無料!]” 4年以上前 replyretweetfavorite

akiharuseisuish 【中西哲生】 4年以上前 replyretweetfavorite

tetsuo14 [今なら無料!] 4年以上前 replyretweetfavorite