天才も、失恋で人生を見直す
茂木 Tehuはこれから、もともと持っている資質と違う道具箱を手に入れたら、もっとパワーアップすると思う。
Tehu 違う道具箱、ってどういうふうに手に入れるんですか?
茂木 まあ、まず恋をした方がいいんじゃない?
Tehu そうきますか!(笑)彼女は欲しいんですけどね、仲のいい女子がいても付き合いに発展しなくて……。
北川 Tehuは失恋で伸びるタイプですね(笑)。
茂木 おれが法学部に入り直した(第2回参照)のも、北川が物理以外のことに目を向け始めたのも、すべて失恋が原因だからな。
Tehu そういや北川さん、以前フラれたとき、SNSにも全然現れなくなって、どうしたのかと思いましたよ(笑)。
茂木 おれたち二人とも女に捨てられて人生模索するとか、いい話だよね。女性はラスボスっていうか、やっぱり最強なんだよな(笑)。
北川 いやあ、本当にラスボスですよ(笑)。女性に比べれば、物理学なんてドラクエのスライムみたいなものだと知りました(笑)。でもTehuはセンスがいいからな。そういうことにはならないのかな。
茂木 どういうところがセンスいいと思うの?
北川 やっぱり生き方がセンスいいですよね。
茂木 生き方って、大きいところきたな(笑)。そうなると、エデュケーションってなんだろうな、と思うよね。センスのいい生き様は教育でつくれるんだろうか。ヒューマンリソースの問題は教育で解決できるのかって言うと、そうでもない気がするんだ。安倍内閣は世界大学ランキングの100位以内に日本の大学を10校入れるのを目標とするって言ってるけど、それ可能なのかなって。
Tehu うーん、難しいと思いますよ。
茂木 教育における一番のボトルネックは、教える側の人材が不足していること。新しいリベラルアーツカレッジをつくろうとしても、教える人がいないんだもん。そこから育てるとなると、さらに長い年月がかかる。それもう無理なんじゃないかなって。
北川 でも、楽天は2年で英語公用化ができたんだから、可能だと思いますよ。
茂木 本当に北川はオプティミスティック(楽観的)だな。おれ意外と、そこについてはペシミスティック(悲観的)なんだよ(笑)。まわりでも研究施設の人材の公募を出すと、世界各地から応募は来るんだけど、最終的にシンガポールや香港の施設に流れちゃうんだって。日本は国際的な人材のサーキットに入ってないんだ。
北川 かなりドラスティックな改革をしないとダメですけどね。
茂木 北川だったらどうする?
北川 教育をつくっている人を変えます。トップを変えて、知を創出するための経営として考える。先ほどヒューマンリソースの問題は教育で解決できるのかとおっしゃいましたが、僕は良い人材は育てられるものだと思っているんですよ。
茂木 そうなの? システマティックに育成できると思う?
北川 システマティックではないですけど、有機的に育てることは可能だと思います。ハーバードという環境は、少なくとも僕にとってはそうだったんですよね。マーク・ザッカーバーグもハーバードでつくられた人材だと思いますよ。