中編】「社会的意義」を捨てるべきとき

作家の石井光太さんとテレビ東京ディレクターの高橋弘樹さんが、「ノンフィクション」について考える対談第2回。2人の話は、ノンフィクションの「ルール」の問題から、その芸術作品としての魅力と、マスコミにとって重要な「社会的意義」とをいかにして両立するか、という悩みに移っていきます。作品のなかに盛り込む内容を取捨選択していった先に残るものとは? 高橋さんの連載「人と同じじゃつまらない――TVディレクターの演出術」とあわせてご覧ください。

おもしろさを突き詰めても、「社会的意義」は残る

— 演出・脚色についていうと、テレビだとわかりやすく伝えるために、そういった部分は必要ですよね。ただテーマをそのまま投げるだけではダメだと思います。そこについて高橋さんは気をつけていることってありますか。

高橋 わかりやすさには何段階もあると思うんですが、テレビのわかりやすさって、視聴者に興味をもってもらえるかってところにあるという気がします。伝えたいことがあったとしたら、そのまわりを視聴者が興味ある情報、知っているネタで埋めたうえで提示しないと、ダメですね。
 共通体験があって、ようやくそこから問題を掘り下げる。これが僕なりのわかりやすさかなと思います。もちろん、それはおもしろくする技術でもあります。

石井 そうですね。おもしろさをどこまで追求できるかっていうことは大きいですね。
 物づくりの中では、おもしろさ以外にいろんな余分なものがあります。「社会的意義」だとか「政治性」だとかね。読者や視聴者が見たいのは、おもしろいところです。だから、そこを純粋に掘り下げていくべきなんです。そのためには、時として「社会的意義」とか「政治性」を削除していかなければならないこともあります。
 もちろん、報道だったら逆ですよ。おもしろさを削ってでも「社会的意義」とか「政治性」だけを書かなければならない。しかし、エンターテイメント番組や、読み物としての本なんかは、逆にそれらを削って面白さだけを見せていく必要があるわけです。
 とはいいながら、これが一番難しい作業なんですけどね。

高橋 「社会的意義」や「政治性」を削っていくじゃないですか。そのさきに残るものはなんですか。おもしろさだけではないと思うんですが。

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ノンフィクションのちから—石井光太×高橋弘樹対談

石井光太 /高橋弘樹

テレビ東京ディレクター兼プロデューサーの高橋弘樹さんが、ちくま新書より『TVディレクターの演出術――物事の魅力を引き出す方法』を刊行されました。それを記念して、「世界ナゼそこに?日本人」の取材で海外を飛び回る高橋さんと、海外ルポで高い...もっと読む

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コメント

sayakanbo 「…事実の中からおもしろいところだけを抽出して「社会的意義」や「政治性」を削ったとしても、削ったものがなくなるとは思っていない…」→ 5年弱前 replyretweetfavorite

Hotakasugi この対談面白い。- 5年弱前 replyretweetfavorite

yamada_kazuo テレビ東京とcakesへ 視聴者のプライバシー盗み見て作る迷惑な番組や報道やアニメ。これは立派な違法行為だ!そんな物喜んで見ろと言うのか?犯罪まではしてはいけないに決まってる https://t.co/08Ro5CZPux 5年弱前 replyretweetfavorite

yamada_kazuo テレビ東京とcakesへ 視聴者のプライバシー盗み見て作る迷惑な番組や報道やアニメ。これは立派な違法行為だ!そんな物喜んで見ろと言うのか?犯罪まではしてはいけないに決まってる  https://t.co/08Ro5CZPux 5年弱前 replyretweetfavorite