だれでも起業ができる時代なのに……
藤野 今は、昔に比べてスタートアップがすごく立ち上げやすくなっていますよね。起業のコストは、堀江さんが会社をつくった時もだいぶ低くなっていましたけれど、いまやもう……
堀江 ないも同然ですよね。
藤野 はい。10年前は、起業することにけっこうリスクがありました。最低資本金制度があったから、株式会社をつくる場合1千万円の資本金を用意しなければいけなかったし、オフィスもサーバーも自前で借りなければいけなくて、固定費用がかかった。でも、10年経ったら会社を辞める機会費用(※1)はだいぶ減りましたよね。会社員でいたからって、安定的に給料をもらい続けられるとは限らない時代になった。また、立ち上げのコストも最低資本金制度がなくなって、劇的に下がりました。オフィスはシェアオフィスがあるし、クラウドでなんでもできる。
※1選択されなかった選択肢のうちで最善の価値のこと。会社を辞める機会費用は、勤め続けていた場合に得られる利益を指す
堀江 そうですね。
藤野 やりたいことやアイデアがある人、人生を楽しみたい人にとってはチャンスがいっぱいある時代になっています。堀江さんがリリースしたグルメアプリの「テリヤキ」も、堀江さんのとにかくおいしいものが食べたいという欲求から生まれているわけですよね。一見すると、グルメアプリはもう食べログがあるし、参入の余地がないと思うかもしれません。でも、食べログが本当に便利なサービスかというと、そうでもない。食べログの点数が参考にならないときというのもあります。例えば、僕は2万円払ってでもおいしいものが食べたいとします。でも、本当においしい店でも「2万円もすることにそもそも腹が立つ」という人が、すごく低い点数をつけたりすることがある。
堀江 そうなんですよ。それはおかしいですよね。あと、僕にとっては、サービスとか雰囲気とかそういう要素もあまり関係なくて、ただただ、おいしければいいんです。そういう店を探したいとき、食べログの評価はあまりアテになりません。
藤野 そこにニーズがあったんですよね。で、堀江さんは今年の3月に仮釈放されてから、ものすごいスピードで「テリヤキ」をつくった。これは堀江貴文だからできたことだ、と思っている人は多いかもしれません。でも、誰でも「こうしたらいいのにな」というニーズを見つけて、アイデアを出して、周りの仲間に協力してもらえば、できちゃうことなんですよ。これを読んでいる人みんなに起業のチャンスがあるんです。
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