技術のコモデティ化で誰でもロケットを作れる時代
堀江貴文(以下、堀江) 最近は、スマートフォンが出てきたことで自分の考えていることを伝える手段が、だいぶ変わったとは思っています。僕はそれまではテレビの編集を使ってでしか100万人単位の人たちに意見を言えなかったんですけど、TwitterとかFacebookとかたくさんの人に発信して、たくさんの人にものを言うことが可能になった。
大前研一(以下、大前) そうですね。
堀江 つまり、技術っていうものが大きく世の中を変えていく時代が、ネットの発達によってまたやって来るんじゃないかなと思っていて。
たとえば、僕がやっているロケット開発なんかもそうなんですけど。明らかにテクノロジーのありがたみたいなものは変わってきている。いままで政府とかがすごい金額をかけてやらないといけなかったようなことでも、コモデティ化した技術を使って、それを組み合わせる事によってロケットだって作れるようになっているわけです。
大前 ロケットでは、堀江さんの競争相手となるイーロン・マスク(※)もいろいろやっていますよね。私はそういう風にして、みんなが技術にもっと関心を持つことが重要だと思います。
※イーロン・マスク:1971年生まれのアメリカの起業家。10歳のときにコンピュータを買い、プログラミングを独学で習得後、PayPal社の前身X.com社を設立。現在、ロケット・宇宙船の開発に携わる企業・スペースXのCEOとして活動。
堀江 もう、競争相手といってはおこがましいぐらい差がひらいてしまっていますが。
大前 まぁ、堀江さんはちょっと寄り道してたからね。私自身としては「日本を良くしたい」という気持ちが非常に強くて。以前はそれを政治でやりたいと思ってましたが、いまは教育者としてそれをやっていこうとしています。以前、堀江さんにも出演いただいたアタッカーズ・ビジネススクール(※)とかを18年間やっていますから。
※アタッカーズ・ビジネススクール:大前研一氏が運営するビジネススクール。「新たな価値や世界観を創り上げていく人材」の排出をモットーに、大学、大学院、海外大学院、英語教育など幅広いカリキュラムが用意されている。堀江さんもオン・ザ・エッヂ時代に講演をおこなった。
堀江 会員は何人ぐらいいるんですか。
大前 卒業生を含めて全部で5800人います。そして、生徒たちがこれまでに作ってくれた会社は770社あります。
堀江 そんなに!
大前 小さい貢献ですけど、私は青島さんに敗れた以降は、教育で自分の経験をみんなと共有したいと思ったんです。大学と大学院もやってますし、経営者の勉強会もやっているし。ビジネス・ブレークスルー(BBT)という組織のなかで、いろんな形で教育をやっています。そのほかにも4000人の啓発された政策提言型市民運動ということでやっている一新塾(※)からは、議員さんが10数名でているし、あとは市長さんとかそういうレベルの人もかなりの数の人が出てくれているので。私はもう教育者として自分の経験をその人たちに伝えていくと。そして、あとは静かに死ぬのみよと(笑)。
※一新塾:大前研一氏が、「新しいネクストリーダー養成学校」として、政治家や社会起業家の育成を目的として運営するNPO法人。政策提言コースや社会起業コース、市民プロジェクトコースなどがある。前身は平成維新の会。
なぜ日本ではスタートアップベンチャーは生まれないのか?
堀江 僕は常々、日本では、テクノロジー系のスタートアップベンチャーがもっと大きくならないのかなと思っているんですが、いかがですか?
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