週刊誌に私の名が出た。
事件でも事故でもなく、連載の執筆者として、週刊漫画誌に予告が出た。仕事が軌道に、と言うか、敷かれたレールに乗ってきた。取り返しがつかなくなってきた。
共同名義とはいっても自宅とは別に一人前に仕事場を借りて、夜中に作業をしながら、絵に描いたように順調に仕事が進み出した私が考えるのはなぜか明るいことではない。
こんなのすぐ終わる。私は絶対にすぐうす寒くなる。山のてっぺんにいつもいる。
底にいたらのぼるばかりで、てっぺんにいたらくだるばかり。今のうちに一生懸命に、体力のもつ限りなんでもバカにして、そのうちバカにされる側に回ったときに負のほうにふりきれないように、せめていま引っぱっておいた方がいい。けれども、どんなに引っぱったところでそのうちどこかで透明な壁ができて閉じ込められ、わたしは箱の中で鑑賞されるものになってしまいます。そんな終わりのときのために、本当に現実的な対策を考える。単に、単にお金があるといいなあ、と思う。だから、私はいまお金が欲しくてしょうがないんだ。入る金出る金、きっちり記録している。
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