安全な治験に心揺れる日々【第二章 初めての治験、その前に】

薬を飲むだけの怪しい高額バイト、その名も「治験」。まだ開発段階の「新薬」を飲みまくり、採血の連続。そんな治験歴7年というプロ治験者の日常やいかに? 第5回は、いざ治験に申し込もうとすると、さまざまなタイプのものがあり、化粧品や健康食品のモニター等の募集もありました。最初の頃は、八雲星次さんも、怪しい薬を飲むのに腰が引けていたそうです。好評発売中の『職業治験——治験で1000万円稼いだ男の病的な日常』(幻冬舎)より1章・2章をcakesで特別公開いたします!

 無事に住所を書き換えた後、家のパソコンで情報を色々と検索していた。

 どうやら治験にはさまざまなタイプの物があるらしいことが分かってきた。それも、薬に合わせて治験実施計画が立てられる様で、どれとして同じタイプの物はないといって良い。

 まずは入院期間。短期、中期、長期に大まかに分類でき、短期のタイプでは金曜日の夕方に入院、そして日曜日退院、二泊三日。これに事後検査や通院がプラスされる物もある。

 中期タイプになると、五泊六日から九泊十日程度までの入院期間。このパターンが休薬期間を空けて二回ないし三回。短期入院と同様に、事後検査、通院がプラスされる場合もある。

 長期タイプになると、入院は十泊以上に及ぶ。超長期治験になれば入院は月単位となる。細かい規定はそれこそ千差万別であり、一概にこうだといえない。このように入院期間が異なるのは、創り出す薬が求めるデータが違うのに他ならない。

 治験情報会社のサイトでは、薬の治験だけが募集されている訳ではなかった。化粧品や健康食品のモニター等も相当数募集している。実際に募集されていた化粧品モニターを挙げると、ある年齢層の女性を対象として、腕に紫外線を当てる。

 そのスクリーニング(事前検診)に合格すると、美白化粧品を自宅である程度の期間使い、その美白度を確かめるために通院する物である。通院すると一日一万円程度貰える。

 肌のかさつきが気になる女性の募集では、スクリーニングで肌の保湿度を検査機器を使い測定し、合格すると、保湿入浴剤を渡される。その入浴剤をある程度の期間使用し、使用前、使用後の保湿度合いを調べる検査。こちらも通院一日一万円程度である。

 健康食品モニターは、化粧品とは趣が違う。健康食品といっても、怪しい業者が高齢者をねらい、高額で売りつける様なものではなく、トクホの臨床試験である。

 トクホとは、特定保健用食品のこと。これまでのちまた氾濫はんらんしている、自称「健康食品」とは違い、国が審査を行い、食品がヒトの身体に生理学的影響を与える保健機能成分が含まれることが科学的に証明されたもののことである。中性脂肪の吸収を抑える清涼飲料や整腸作用が認められるヨーグルト、コレステロールがつきにくい食用油などが現在認可されている。

 この審査を通過するためには、科学的なデータが必要であり、その申請用データのための治験が最近では多くなりつつある。先の化粧品モニターとは違い、正確なデータを用いなくてはならず、そのため自宅での摂取が難しい場合が多い。自宅では、正確に飲んだかどうかが分からないためである。データのばらつきをなくすため、被験者を入院させる必要があるのである。こうなるともう治験と同様のことが行われる。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
職業治験—治験で1000万円稼いだ男の病的な日常

八雲星次

薬を飲むだけの怪しい高額バイト、そんな噂を聞いたことがありませんか? その名も「治験」。まだ開発段階の「新薬」を飲んで飲んで飲みまくり……。その薬のデータを取るために採血の連続。そんな治験歴7年、トータル入院日数365日、採血数900...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません