加藤 じゃあ、ほぼ日もこれからやることがたくさんありますね。
糸井 世の中が困ってることは山ほどありますから。たとえばいま、みんなで「津波でやられちゃった場所で困ってること」をどうしましょう、という練習をしてるわけじゃないですか。そういう社会の誰もが困っているようなことって、山ほどあるはずなんで。
加藤 ええ。
糸井 それをうちの会社が「解決するよー」っていえたら大仕事ですよ。もしかしたらそこにはものすごいお金がかかるのかもしれない。あるいはいまみたいに、単行本を出していくようなコンテンツの楽しみも、「これはやめられないんだよね」ということなら続けていけばいいし。そっちが片手間になったほうが、両方いいですよね。
加藤 そうですね。
糸井 だから、いろんなテストができるくらいの利益が出せてるといいですよね。そう、利益って……いいですよねえ(笑)。
加藤 ははははは。
糸井 ほんっと、そう思うわ(笑)。
加藤 いやー、利益。出したいですね(笑)。
糸井 いまってcakesさんは、どういうお金で運営されているんですか?
加藤 大部分は投資ファンドから出資していただいたお金ですね。親会社とかはありません。売り上げもありますけど、人をたくさん雇っているので、いまは赤字です。ベンチャーによくある、手持ちのお金が尽きるまでに利益が出るようになるかどうかという勝負をしているところです。
糸井 あんまり軽率にはいえないんですけど、怖がんないほうがいい結果が出ますから。「この試合に負けたら大変だ」っていうときと、「この試合に負けたって大したことないけど、勝ってみせる」というのは、置かれた状況って同じですから。
加藤 そうですね。ぼくもいま3億円以上集めてて、「これを溶かしたら、詐欺師になっちゃうな」と思う反面、「でも、最悪の場合でもそれだけだな」とも思うんですよ。
糸井 そうですね、うんうん。
加藤 だから、たくさんひとを雇っている内訳でいうと、エンジニアのほうが多いくらいなんですけど、やりたいことを思いっきりやろうと。幸い、出資者の方々にもそこを理解いただけていて。
糸井 なんかぼくも「cakesでやればいいのに」ってことを思いついたら、いいますよ。「うちでやればいいのに」はうちでやりますけど。なんかトライが必要ですから。たとえば今回ぼくがcakesさんに登場するのもトライなんですけど、これで入会希望者が増えるとは思えない。多少の呼び水にはなっても。
加藤 ええ、そう簡単なものじゃないですよね。
糸井 でもねえ、もっと素敵なことがありますよ。でもその素敵はねえ、わっかんないんですよ、誰にも(笑)。
加藤 ははは。みなさん、どこか別のところで見つけてますよね。
糸井 DeNAも、最初はネットオークションでしょ。ドワンゴもゲームの会社でしょ。IT系の頭がいい人の頭のなかって、ものすごく狭い頭蓋骨なんですよ。
加藤 うーん、そうかもしれません。
糸井 ただ、ドワンゴもそうだけど、好きでやってるうちはぜったいに大丈夫なんで。
加藤 ええ、ぼくもいまの仕事、好きです。
糸井 いや、はじめてですよ、こんなにまとめて経営や組織についてしゃべったのは。たぶんきょうはオープンにしていい話しかしゃべってないはずなんで、みんなの役に立ったらいいなと思います。