人となり」を増幅するネット IT時代の教育とは? 【第3回】

すっかり私たちの生活の一部になったインターネット。毎日気にも止めずに沢山の時間を使っています。そんなふうに無意識に使っているネットは、自分の「人となり」を全世界に放送してくれてしまう恐るべき装置なのです。今回はその辺りのメカニズムを考えてみましょう。
「ウェルテル効果」(Werther effect)という言葉をご存知でしょうか? ゲーテの名著『若きウェルテルの悩み』にちなんで名付けられたこの現象、有り体に言えば「自殺は感染する」というお話です。感染と言っても病気のように感染するのではなく、新聞やテレビなどで自殺報道がなされると、影響を受けて自殺してしまう人がいるという現象なのです。

 このウェルテル効果、社会学者のデイビッド・フィリップス氏によって発見/証明されました。氏は、ニューヨークタイムズの一面に掲載された自殺記事と、1947年から1967年までの全米の月間自殺統計を比較することで、報道による自殺率の増加への影響を証明し、これをウェルテル効果と名づけたのです。新聞に限らず、テレビ業界でも同様の効果が発生します。20代の自殺が報道されれば20代の自殺が、60代の自殺が報道されれば60代の自殺が増えるのです。飛び降り自殺が報道されると飛び降りが、拳銃自殺が報道されれば拳銃自殺が増えてしまうのです。

 日本では、岡田有希子さんの後追い自殺が有名です。1986年に岡田さんが飛び降り自殺した後、およそ2週間の間に30名余りの若者が自殺しました。そのほとんどが、岡田さんと同様の飛び降り自殺だったのです。後追い自殺はこの後1年ほど続き、1986年はその前後の年に比べて,青少年の自殺が3割も増加、およそ40人にも達しました。岡田さんは松田聖子の後釜として期待されていた上、人気絶頂期での自殺でしたから、凄まじい「感染力」を発揮してしまったようです。

ネットの増幅力
 では、ネット時代のウェルテル効果は、いったいどれほどのものでしょう?

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IT時代の未来〜それはユートピアかディストピアか?

松井博

現在、IT革命によって世の中の仕組みが急速に変わりつつあります。産業、政治、就労、コミュニケーション…… 影響を受けない分野はありません。未来はどうなっていくのか、こうした時代が私たちにどんな選択を迫ってくるのか、元アップル管理職の松...もっと読む

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3keys_takae すべては丸裸にされる 、つまり、善意も悪意も愚かさも賢さもすべてが裸にされ、増幅され、強化され、伝播していくのがネットと言うメディアの特性なのです。→ そしてそれは現実の肉体が滅んだ後も、未来永劫存在し続ける自分なのです。... http://t.co/RULhsi2XVT 5年弱前 replyretweetfavorite

yumirishamo [今なら無料!] 5年弱前 replyretweetfavorite

ko_kishi "だからこそ、自分は人としてどう在りたいのか? そういった真の意味での「自分なりの価値観」が、非常に重要になっていくでしょう。" |松井博|cakes http://t.co/wNh3kAmmYe 5年弱前 replyretweetfavorite

ko_kishi "結局、自分自身の人としての在り方が、問われるようになるでしょう。悪意も善意も賢さも愚かさも、一切合切隠すことはできません。「自分という人間」が丸裸にされてしまうのです。" |松井博|cakes http://t.co/wNh3kAmmYe 5年弱前 replyretweetfavorite