第15回 よい医療保険とは?

医療保険に入るべきか、あるいは、このまま掛け続けるべきか――。あなたもいちどは悩んだことがあるのではないでしょうか。“掛け捨て”嫌いの日本人向け医療保険には、「お得」に見える仕掛けが用意されています。でも、答えは意外とシンプル。入院期間の短縮によって、その期間の生活費は預金や年金で賄える場合がほとんどなのです。(『いきいき』2013年3月号より転載)

前回は、「よい生命保険とは何か」という話をしました。死亡時に保険金が支払われる生命保険は、そもそも加入する必要のあるひとが極めて限られていて、とりわけ子どもが独立しているのならまったく意味がありません。「よい生命保険」とは、「生命保険に入らないこと」です。

ここまでは納得してもらえたとしても、「だったら医療保険はどうなるの?」というのが当然の疑問でしょう。そこで今回は、「よい医療保険」について考えてみましょう。

最初に、話の前提を確認しておきます。日本では正しい意味での医療保険は一つしかなく、それは日本国の運営する国民健康保険(国保)です(会社員の場合は健康保険組合が代行)。

病気になって医者にかかると、治療費や薬代に応じて、通常は7割、高齢者は9割の保険金が国保から支払われます。ただしこの保険金は、患者ではなく病院が受け取ることになっています。

民間保険会社が提供する保険のなかで、このように医療にかかる費用を直接補償するものは(一部の例外を除いて)ありません。日本でいう「医療保険」とは、入院日数に対して5000円とか1万円とかの定額の保険金が支払われるタイプの保険のことです。

医療保険は「所得補償保険」

みなさんも、「医療保険に入っておいてよかった」と言うひとを一人くらいは知っているでしょう。ではどんなときに、民間の医療保険は役に立つのでしょうか?

ここで、もうひとつの前提です。

日本の健康保険制度はきわめて手厚く、長期入院や高額医療で治療費がかさんでも、患者の自己負担は一定額に抑えられるようになっています。医療費が100万円の場合、患者の自己負担は3割の30万円ですが、高額療養費制度によって、1カ月あたり約9万円(70歳以上は毎月4万4400円)が自己負担の上限になります。

アメリカでは医療費が払えずに自己破産するひとがたくさんいますが、日本では保険対象外の先進医療でもないかぎり、病院への支払を心配する必要はありません。だったらなぜ、民間の医療保険が必要になるのでしょうか?

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konpyu カモられないように気をつけよう「医療保険は預金で代替できる」 5年弱前 replyretweetfavorite