一人はさみしい。人といるのはわずらわしい。
そんなように対人関係を捉えているところのある40代の僕は、人と物との中間あたりにある存在としてギターを考え、友として相棒として、それを抱えて下手っぴに爪弾きながら、夜に酒を飲むことが多い。
まるで往年のフォークソング「真夜中のギター」の歌詞そのままの姿である。酒のツマミに昭和の特撮ヒーローテレビ番組を観ながら「お、そういやジローの弾いてるギター、どこのだ?」などとモニターに目を近づけたりしている深夜0時なのだ。
昭和の特撮ヒーローにはギターを抱えて諸国をさすらっているものが何人かいた。それは小林旭の演じた「ギターを持った渡り鳥」の流れ者のイメージからの産物なのであろうが、「人造人間キカイダー」の主人公ジローと、「怪傑ズバット」のヒーロー早川健のギターを奏でる姿は特に印象的であった。
前者は、天才科学者の光明寺博士が作った人造人間。普段はギターを背負った青年ジローの姿でサイドカーに乗り、旅をしている。
後者は、天才科学者の飛鳥五郎が遺した設計図をもとに、彼の親友・早川健が強化服「ズバットスーツ」と特別車「ズバッカー」を製作。自らヒーロー「ズバット」を名乗り悪との戦いの旅に出る。で、旅のかたわら白いギターを弾くのだ。
ギターに興味を持つまで考えたこともなかったが、そういえば彼らのギターってどこの何だろう?
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