晩酌歳時記

第三十九回・柚子

お酒に対しては博愛主義を標榜してきたはずが、アルコール度数4%未満の飲料は酒と認めず蔑視している自分に最近気がつきました。そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。寒くなって、空気が乾燥してきたら、これを作ろうと思ってました。

 江戸の女料理人を主人公とした時代小説シリーズ『みをつくし料理帖』、昨年末に北川景子主演でドラマ化もされて、ご存知の方も多いでしょう。私も楽しみに読み進めてきました。今では一年中手に入る食材もかつては季節限定、旬のお料理の描写は読んでいるだけでも心踊り、巻末にレシピも掲載されているので料理本としても重宝。その七巻に登場するのが、「ゆべし」です。
 特別好物なわけじゃない、というより、一、二度食べたことがあるだけで、味も形状もぼんやりとしか思い出せない。でも、小説を読むと、おいしそうなんですよねえ。詳しいレシピは本を参照していただきたいのですが、柚子の中身をくり抜いて、味噌と砂糖、酒、胡桃、松の実を混ぜ合わせたものを詰めて、蒸して、一ヶ月から二ヶ月程度干す……おいしくないわけないじゃないですか。
 ゆべしと称するものは土地土地に色々あるようで、ベースが味噌だったりもち粉だったり、砂糖を使ったり使わなかったり。しかしまあ、作中でさえ「随分と古い写本」に作り方が載っているとあり、我が民族古来からのおいしいものにかける情熱には心底恐れ入ります。負けじと作ろう、寒くなったら作ろう、作って食べようと、心に決めてたんですよ!

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晩酌歳時記

佐藤和歌子

季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。

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