与えられた「世界」を、想像力で味わいながら—21歳の自閉症作家・東田直樹インタビュー

第1・第3金曜日に更新中の、「跳びはねる思考——21歳の自閉症作家が見た世界」。前回大好評だった著者・東田直樹さんのインタビュー第2弾です。

東田さんは会話ができないため、普段は文字盤を指差しながら発声していく「文字盤ポインティング」でコミュニケーションしたり、パソコンで執筆されたりしています。その一方で、「カラオケ」に行って歌うことを楽しみにされているそう。

そこで今回は、東田さんの「カラオケ」に同行させて頂き、お話しをお伺いしてきました。 普段は知ることのできない一面がうかがえるインタビューです。

早速、カラオケを歌っていた東田さん。 画面に書かれている歌詞を見ながら、リズムに合わせ抑揚をつけて歌っている。 指揮棒のように振る右手で、リズムをとっているよう。



せめて歌の中では主人公になりたい

— 東田さんは、カラオケによく来られるのですか?

東田 月に、2回か3回来ます。おわり。

— 歌っている時は、会話時よりも言葉がスムーズに出ているように思えます。東田さんにとって、歌うことと話すことは、何か違いがありますか?

東田 重度の自閉症者の中には、僕のように会話ができなくても歌なら歌える人たちがいます。歌というのは、決められた歌詞を読むことです。そのことと、自分の気持ちや考えを話すことは、僕の脳の中では、全く別のものなのです。話したくないとか、緊張するから言葉が出ないのではありません。僕が話せない状態はみなさんが経験したことのある『ど忘れ』がずっと続いているようなものではないでしょうか。おわり。

— カラオケでは、どのような曲を歌うのですか?

東田 いろいろです。たとえば、「線路は続くよどこまでも」や「アンパンマンたいそう」、J-POPも歌います。おわり。

— 東田さんが曲を選ぶのは、メロディーが好きだからですか? それとも詩が好きなのでしょうか?

(ここで突然、東田さんの口から甲高い声で、答えに関係のない「30分になったら」という言葉が、飛び出す。)

東田 曲が好きなものも、詩が美しいと思うところに……

(質問に答える途中で、今度は「35分になったら」という言葉が出る。質問に答えてくださる声とはトーンが違うので答えの続きを待つと、声のトーンが戻り、文字盤を指しながら話す東田さんの回答がはじまる。インタビューが早く終わってほしいわけではなく、東田さんには、「○分になったら終わり」と言ってもらいたいこだわりがあるらしい。)

東田 ……(詩が美しいと思うところに)惹かれる歌もあります。おわり。

— 「線路は続くよどこまでも」や「アンパンマンたいそう」などは、懐かしさを感じるとか、昔から好きだという理由で歌われるのですか?

東田 歌っていると、自分が元気になれるからです。おわり。

— 「歌っていると元気になれる」と感じるのは、どうしてですか?

東田 歌の主人公になったような気がして、勇気がわいてくるのです。おわり。

— 東田さんのお話には、よく「主人公」という言葉が出てくるかと思います。「主人公」というのは東田さんにとって、どのような存在なのでしょうか?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

madame_penguin 有料メルマガだけど、これ、すごくおもしろかった。 4年弱前 replyretweetfavorite

kenji1761 発達障害について、どんなに知識があっても、良い支援者になれるかどうかは、別なんです!: 約4年前 replyretweetfavorite

kenji1761 今日、講演会に行ってきました!どんな専門家の講演よりも大感動でした!: 約4年前 replyretweetfavorite

kenji1761 会話ではなく、どうコミュニケーションをとっているのか?明日、会って確かめたいと思います! 約4年前 replyretweetfavorite