第7回】あの人の話がつまらない理由

「編集」……取材した素材を凝縮し、物語を組み立てる作業。編集者やテレビマンにしか関係ないと思われるかもしれませんが、実は日常生活のなかで誰もがやっていることなのです。そして編集の巧拙こそが、物事をわかりやすく伝えられるかを決めるきわめて重要なポイントなのです。同時掲載のノンフィクション作家・石井光太さんとの対談もあわせてお楽しみください。(『TVディレクターの演出術: 物事の魅力を引き出す方法』(ちくま新書)より)

photo:Vancouver Film School

取材を生かすも殺すも「編集」次第

 わかりやすく伝えるためのキーワード、それは編集です。

 編集というのは、取材した素材を凝縮し、物語を組み立てる作業です。こう聞くと、なにやら専門的な話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。情報を取捨選択して、ストーリーに意味を持たせる編集という作業は誰しもが日常の生活の中で毎日行っていることです。

 たとえば「会話」です。買い物に行ったスーパーでいつもより大変お買い得な買い物をしたことを旦那に話す。あるいは、取引先との打ち合わせ内容を上司に報告する。

 これも立派な編集作業です。スーパーで起きたこと、取引先との打ち合わせを一言一句そのまま伝える人はほぼいないと思います。この場合相手にとって魅力的、あるいは意味のあると思われる情報を取捨選択して話を構築するという作業を、人は知らず知らずのうちに行っているのです。

 この編集作業がうまい人が、聞いていて面白い「話のうまい人」、編集作業の下手な人が、なんかダラダラしていてつまらない「話の下手な人」ということになります。

 芸人さんは話が面白く、聞いていてあきません。これはつまり、「話の編集」が上手なのです。

 テレビの編集も本質は全く一緒です。すなわち、「テレビの編集の技術」とは、「面白く話をする技術」そのもの。一度撮影した素材を見直して、取捨選択、ストーリーの組み立てを行うこの編集なくして、面白い番組作りはありえません。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
人と同じじゃつまらない—TVディレクターの演出術

高橋弘樹

世間的には憧れの的と思われているTVディレクター。しかしその実態は、連続労働時間30時間を超えることもざらではない激務の連続、業界自体の斜陽により昇給ほぼナシと、リア充になるにはほど遠いものです。それでも、テレビの仕事は楽しいと言い切...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

kokeshiyamada 取材の音声を起こしA4×3.5枚分のテキスト→構成して圧縮してA4×1枚の原稿完成。 という作業後に読んだcakesの記事「テレビ番組というのは、番組にもよりますが、1分作るのに、大体1時間分の撮影が必要(略)」 https://t.co/YRFQsCxMQ6 なぬう!!! 約4年前 replyretweetfavorite