第5回】「悪魔の姉妹」を見つける方法

新しいものを見つけるために何よりも重要な「リサーチ」。今回は、リサーチが実際に実を結んだ例として、「TVチャンピオン」で話題をさらった「悪魔の姉妹」にたどりつくまでを振り返ります。誰もそれまで見たことのなかった「詰め放題選手権」というアイデアを実現させるにいたったリサーチ術とは? 同時掲載のノンフィクション作家・石井光太さんとの対談もあわせてお楽しみください。(『TVディレクターの演出術: 物事の魅力を引き出す方法』(ちくま新書)より)

TVチャンピオンつめ放題王選手権で活躍した「悪魔の姉妹」が披露した離れ技”ニンジンの花”(photo:テレビ東京)

一度も開かれたことのない選手権の選手を探す

 もう一つ、足で探してネタを見つけた具体例をあげておきます。「TVチャンピオン」という番組をやっていた時のことです。この番組は、先にも述べたように、世間で全く知られていない分野の達人を集めて、絶対開かれることの無いような全国大会を開いてしまおう、という番組でした。

 もちろん、世間で一回も開かれたことの無い選手権なのですから、まず選手を集めることに一苦労するのです。

 特に、苦労するのがさまざまな選手権の「第一回選手権」の時です。二回目以降は、一回目に出演した選手にもう一度出演をオファーしたり、類は友を呼ぶということで、その人の知り合いにライバルのような人がいないか聞いてみたり、オンエアを見た視聴者の方から応募があったりして、選手が集まる仕組みが構築されていました。

 しかし一回目となるとそうはいきません。とくに、わけのわからない選手権であればあるほど。

 それは、第一回「つめ放題王選手権」というものを開催しようとした時でした。「つめ放題」ってなんだよ。初めは僕もそう思いました。聞けばスーパーでビニール袋が一枚用意されており、この袋に入る分だけは、200円でニンジンつめ放題! というアレのこと。

 たまたま番組のプロデューサーが、スーパーのつめ放題がお得というような特集を夕方のニュース番組で見たらしく、「これで全国大会開催できないかなあ」と考えたそうです。

 その発想が大胆過ぎて脱帽しましたが、では実際どうやって選手を探すのかが問題になりました。リサーチ会社などにも頼んでネットや電話でリサーチを行ったのですが、いまいちパッとした選手が見当たらなかったのです。

 そりゃそうです。そんな全国大会開かれた前例などありませんから、インターネット上に達人を特集したサイトなどあるわけがありません。

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人と同じじゃつまらない—TVディレクターの演出術

高橋弘樹

世間的には憧れの的と思われているTVディレクター。しかしその実態は、連続労働時間30時間を超えることもざらではない激務の連続、業界自体の斜陽により昇給ほぼナシと、リア充になるにはほど遠いものです。それでも、テレビの仕事は楽しいと言い切...もっと読む

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