第4回】「半沢直樹」になるのに必要なこと

テレビ制作をする上で最も重要なことは何でしょうか? それは「リサーチ」。ネタを探す、そしてそのネタを膨らませるために欠かすことのできないのがリサーチなのです。「新しさ」を生み出すリサーチは、テレビ制作に限らずすべての仕事に役立ちます。そのコツを身につければ、あなたも「半沢直樹」になれるかも? 同時掲載のノンフィクション作家・石井光太さんとの対談もあわせてお楽しみください。(『TVディレクターの演出術: 物事の魅力を引き出す方法』(ちくま新書)より)

photo:David Jones

半沢直樹も島耕作も、アレをやっている

 テレビ番組にとって、なんと言っても最も重要なのはやはり「リサーチ」です。しかし、なにもこれはテレビに限ったことではありません。

 ドラマ「半沢直樹」を見ていると、主人公の銀行員は、担当する街の優良な融資先の発掘に始まり、すでに融資した取引先の経営状況、果ては粉飾決算した取引先の社長の隠れ場所まで、常に何かをリサーチしています。そしてリサーチを妨害するやつには、いつも「倍返しだ」と激ギレ。

 マンガ「島耕作」シリーズの主人公は家電メーカー「初芝電器産業」の社員。彼の若かりし頃のエピソードで、ライバル会社の発売する「ベータ」とよばれるビデオデッキに、自社が発売するVHSがシェアで勝利するために奮闘するシーンの一節では、

同僚社員「今日、アダルトビデオの撮影会があるんだ。VHS陣営勝利の為にも制作現場を見に行こうじゃないか」

島耕作 「ふむ。それは見てみたいな」

 VHSを売るために、AVの撮影をリサーチする主人公の姿が生き生きと描かれています(『係長 島耕作』第3巻)。

 これは、1982年に発売され、その高画質とクオリティの高い女優の演技で、一説によれば13万本という爆発的な売り上げを記録した「洗濯屋ケンちゃん」という画期的な裏ビデオが、家庭用ビデオデッキの爆発的な普及に大きく貢献していたという史実をもとにした創作だと思われます。

 もちろん、ドラマやマンガの世界ですので、面白おかしくするためにある程度の脚色はありますが、ことほど左様に銀行員も、メーカーの社員も、その他の多くの仕事についても、商品を売るため、作るため、製品を企画するため、その企画を人に説明するため、と様々な局面において、「リサーチ」は必要です。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
人と同じじゃつまらない—TVディレクターの演出術

高橋弘樹

世間的には憧れの的と思われているTVディレクター。しかしその実態は、連続労働時間30時間を超えることもざらではない激務の連続、業界自体の斜陽により昇給ほぼナシと、リア充になるにはほど遠いものです。それでも、テレビの仕事は楽しいと言い切...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません