サッカー観戦は「勉強したい」と思わせたらダメ
速水 実は今サッカー誌二誌で連載しているんです。僕が「フリーライター」と名乗っているのは、ジャンルにこだわらずに書いてきたからで、気がついたらサッカー誌で書いていただけなんですね。
清水 二誌はすごいですね(笑)。
速水 でも、まったく専門外の領域なので、ずっと闇に向かってパスを出し続けている感じなんですよ。清水さんはずっとサッカー専門誌などで書いてこられたと思うんですが、cakesっていうサッカー専門ではない場所で書かれてどうでしたか?
清水 手応えを感じるのは、読者の方からSNSを通して直接反応をもらえることなんですよ。cakesに限らずですが、今はネットで反応を見られるのが楽しくて、そこで「これを読んでサッカーを見るのが楽しくなりました」っていう反応をいただくとすごくうれしい。
速水 Twitterや2ちゃんねるとかで、サッカーを実況している人もたくさんいるような時代ですからね。確かにSNSの反応というのは、一つの指標になるかもしれません。
清水 連載の最初にも書きましたけど、今や日本全国総ジャーナリスト時代ですよね。サッカーの専門誌で書いている人が特別という感覚がなくなってきているような感じがします。実際僕もTwitterでサッカーについて面白いことを書いてる人なら、知らない人でもフォローしてますし。
速水 なるほど。
清水 あと最近Twitterをみていて面白いのは、松木安太郎さんが大人気なんですよ(笑)。サッカーが戦術で語られることが増えすぎて、松木さんみたいな感情で語るタイプが枯渇してきているのかも。時代が繰り返しているのかもしれないですね。
速水 清水さんの見方が書籍などを通じて広まってきていることの現れかもしれませんね。
清水 ただ、「勉強になりました!」とか「これからもっとサッカーを勉強しようと思います!」って意見をもらうことも多いんです。「勉強」って思われちゃうのは自分の力不足を感じます。もっと楽しんでもらえるように書かなきゃいけない。
速水 まあ、ものを学んで「向上した」という感覚は気持ちがいいんですよ。「ここを見るんだ」ってポイントに気がつけるか気がつけないかがすごく大きいから、清水さんの本を読んだ人がそう感じる気持ちもわかる(笑)。
清水 そうですか(笑)。向上心というのは結構大きなポイントですね。僕も『サッカー「観戦力」が高まる』っていう本を出してますけど、これは「観戦力」を高めたいと思っている人に読んでほしい。そこまで思ってない人は『だれでもわかる居酒屋サッカー論』を読んでサッカーを見る面白さを知ってほしい。いろいろな人がその人に合ったものを手にとってもらえるように、仕事の幅を広げていきたいですね。