反重力—浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド」展—「自由」を感じる小旅行

私たちをいつでもとらえている力、重力。その力から自由になったとき、人間はどうなるのでしょうか? 宇宙にでも行かないかぎりなかなか実現しない無重力状態も、アートなら可能です。「反重力」をテーマにした今回の展示では、16組の現代アーティストがそれぞれの考えた、重力のない世界をかたちにしました。航空機を使って無重力状態をつくりだした映像から、何にも縛られることのなかった胎児の世界の再現まで、その作品は十人十色。彼らの思い思いの空想世界を旅してみてはいかがでしょうか。

こんにちは。今回は愛知県豊田市に来ています。無性に惹かれるテーマを掲げた展覧会が開かれていたものですから。豊田市美術館での「反重力 浮遊 時空旅行 パラレル・ワールド」展です。

天体の中心に向かってものが引っ張られる働き、それが重力ですね。地球上に生きているわたくしたちは、いつだって重力にさらされて、その影響を受けながら生きています。つまりは、生きていくうえで決して逃れることのできない枠組みであり足枷となっているのが、重力という存在です。

展覧会タイトルは、その重力という言葉の前に「反」をつけているのです。重力から逃れよう、わたくしたちがとらわれているあらゆる力から脱け出してみよう、そんな試みをしようということでしょうか。アートでそれができるのであれば、なんと画期的なことだろう。期待が膨らみます。

展示は具体的には、16組の現代美術アーティストによるグループ展のかたちをとります。

会場に入ると、いきなり浮遊するものが目に飛び込みます。向かい合わせの扇風機の向こうで、磁気テープが壁に沿って、自在にかたちを変えながら回転し続けています。ジルヴィナス・ケンピナスの《ビヨンド・ザ・ファンズ》です。


ジルヴィナス・ケンピナス《ビヨンド・ザ・ファンズ》2013年 イヴォン・ランベールギャラリー蔵

風力でテープを宙に浮かせているだけの、ごく単純なしかけではあります。が、ひとときも同じかたちに収まっていないテープは、風を栄養にしてはしゃぎ回る生きものみたいにも見えます。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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