奪いとる恋

bar bossa店主・林伸次さんの今回のコラムは、林さんがカウンターで見たある男女のお話。その若い男性と年上の女性は恋人同士ではない様子でしたが、男性が突然あることを女性に言いました。カウンターのむこう側にいる林さんだから見ることができた、バーならではのワンシーン。さて、なにが起きたのでしょうか。

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

いきなりですが、あなたはバーに行きますか? バーって高くて緊張するところだと思っていませんか。もしそう思っているのでしたら残念です。もちろん銀座のバーとかでしたら、まだまだそういうイメージはありますが、街場の普通のバーでしたら、ふたりで2杯づつ飲んで、少しつまんで6千円はしないと思います。

気になる彼女を食事に誘って、おいしいパスタを食べるところまでは行けたのに、その後「じゃあ、また」って駅で見送ったりしてませんか? そのままだと「ただのお食事だけする友人」のままの関係で終わりそうですよね。

そんなときは、思い切って「あの、良いバー知ってるんで、そこであと少しだけ飲みませんか? もう少し話がしたいんで」と伝えてみて下さい。あなたと彼女の距離がぐっと縮まるような世界が、バーでは待っています。

※   ※   ※

先日、カウンターで男女が飲んでいました。

男性の方は27、8歳。細身でルックスは良いのですが、あまり世慣れてない雰囲気で、誠実そうです。スーツではなくてジャケットにTシャツとカジュアルながら、ちゃんと清潔感はあります。そして、そうとうインテリな印象もあります。おそらく研究者か学芸員なのではと想像します。

女性の方はおそらく34、5歳くらいでしょうか。ショートブーツに細身のジーンズ。薄手のグレーのニットに白いストールをふんわりと巻いています。髪型はボブで理知的で綺麗な女性で、おそらく出版社の編集者という感じです。bar bossaのグラスワインの黒板のこと知っていたの、たぶん誰かと来たことあるのでしょう。

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この連載について

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

moe_sugano 僕が想像するに、彼、彼女のことを奪い取るとみました。女性は男性から誠実に情熱的に強く求められると、ついつい心を許してしまうものですよね。> 2年弱前 replyretweetfavorite

sadaaki 文章がうますぎるバーの店主、林さんのコラムも更新されています。ある男女のカウンターでの会話です。ドキドキしますね。 約5年前 replyretweetfavorite