いまここ」を超えるために旅は続く【後編】

いまつぶやきたいけど、情報を発信したいけど、時間が足りない、身体がもたない。そんな経験はありますか? 東浩紀さんは「いまここ」の評価をめぐるソー シャルメディアでの争いが行き着く先は、純粋な消耗戦、つまり体力勝負だと言います。そういった限界を超えるためにできることはなんなのでしょうか。縦横無尽に活躍を続ける評論家・東浩紀さんによる連載放談、いよいよ最終回です。けれど、二〇一一年三月一一日の震災の日に始まった、わたしたちの「新しい検索ワードをさがす旅」は、まだ終ってはいません。

ソーシャルメディアは消耗戦

 この連載は、途中から、cakesさんでも配信されました。また、ぼくのツイッターのフォロワーは一二万人もいます。マスコミでは、ソーシャルメディアに詳しいひとと思われているようです。

 けれども、現実にはぼくはソーシャルメディアを全面肯定ではありません。コミュニケーションのプラットフォームとしてはたしかに便利ですが、コンテンツのプラットフォームとしては致命的な弱点を抱えているからです。

 それはなにか。まさに体力の問題と関係しています。ソーシャルメディア上の評価は体力と強い相関をもっています。岡田斗司夫さんが「評価経済社会」というように、現代社会では他人の評価が可視化され富に変わる。ソーシャルメディアはそれを体現していると言われます。

 しかし、そこでの評価とは、要はサイトのページビューやツイッターのリツイートやフェイスブックの「いいね!」のことです。では、それらの数を増やすにはどうすればいいか。だれもが知るように、ここからさきは純粋に体力勝負です。むろん、投稿者がなにも努力しなくても、一万を超えるRTや「いいね!」がつくような例外的事例はある。投稿内容が大衆の無意識に共振した場合や、有名人の発言のような場合です。
 しかし、たいていの場合、ソーシャルメディアにおいては、露出の数が多ければ多いほど確実に注目度はあがる。ツイッターにしてもフェイスブックにしてもメルマガにしても、更新頻度が高ければ高いほど読者は増える。これはもう絶対的な法則です。体力を使えば使うほど、評価は高まっていくのです。

 これは現実に、ぼく自身がいま直面しているジレンマでもあります。ぼくはいま、大学を辞めて、ゲンロンでの出版と経営に主な時間を割いています。ゲンロンは会社ですから社員がいます。広報もいます。けれども、ぼくはそのだれよりも発信力が強い。社員がいくら努力してブログを書いても、結局はぼくのツイッターが頼みなのです。
 いや、それは弊社だけの話でもありません。ほかの出版社で単行本を作っても、あるいはイベントに招かれても、いつも言われるのは「東さんのツイッターで宣伝してください」です。その要望はまちがっていません。ぼくもできるだけすべてに応えたいと思います。けれど、そうすると、ぼくはずっとツイッターをやり続けているしかなくなってしまう。

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検索ワードをさがす旅【第2期】

東浩紀

検索すればあらゆることがわかる時代。日々たくさんの情報に埋もれているけれど、果たして本当に欲しい情報はなんなのか。その検索ワードはどこから思いついたのか。テーマはズバリ、「若者よ、スマホを持って旅へ出よ」。ただし、自分や目的を探すので...もっと読む

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asahipress_2hen 東浩紀氏──「アメリカ生まれのソーシャルメディアが日本ではじつに古くさい「どぶ板選挙」に変わってしまったように思い、悲しくなります…本当に新しいコンテンツ、本当にすばらしいコンテンツは、決してそのような 約5年前 replyretweetfavorite

gcyn 『いつも言われるのは「東さんのツイッターで宣伝してください」です。』 約5年前 replyretweetfavorite

yanabo ゲンロンは、そのような考えから、あえて主力商品を、メルマガでも電子書籍でもなく、古くさい印刷物に定めています。一年に一回、大型プロジェクトを企画し、そのために会社の資本を集中する。ーー東浩紀さんのこの言葉はとっても響く https://t.co/pucJnH8Y92 約5年前 replyretweetfavorite