東京オリンピック開催が決まりました。招致プレゼンテーションをテレビで見た方も多いと思います。「プレゼンがすごく良かった」という漠然としたことを指摘する方は多かったのですが、海外で仕事してみたいなとか、外資で働いてみたい、と思う人にとっていろいろと役に立つことを学べる内容ですので、これから数回にわけて、私がプレゼンから気がついたことをまとめてみたいと思います。
まず、あのプレゼンはプロの広報専門家が練りに練った戦略的なものであったことに、注目しなければなりません。プレゼンの黒子は、ロンドンにある戦略広報ファームSeven46です。同ファームの戦略コンテンツ担当者であるCatherine Inkster氏は「東京の高層ビルやクレイジーな若者のファッションを知っていたので、この街は『未来の都市だ』というイメージを持っていたが、実際東京に行ってみてそれは真実だと確信した」と語っています。
このファームの人びとは、オリンピックキャンペーンに関わるまで日本のことをあまり知らなかったらしいのですが、おぼろげな印象を持っていたようです。
この方のように、多くの欧州の人びとや、その他の国の人びとは、日本のハイテクグッズやテレビで紹介される映像、映画『キルビル』『ウルヴァリン:SAMURAI』『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』や、アニメ『アキラ』を通して、ハイテクで近代的な高層ビルが建ち並ぶ日本というのを知っています。
そのイメージの中の街には、非正規雇用の若者はおらず、ホームレスや痴呆老人、残業のし過ぎで死ぬサラリーマン、仮設住宅に住む人びとはでてこないのですが、最近では、そういうイメージに、防護服を着た人びとが闊歩する映像というのが加わりました。
さまざまな意味でSFチックなのが、日本のおぼろげなイメージなのです。
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