ガラパゴス化した日本の会社
最近の携帯電話の発達ぶりには、目を見張るものがある。
デジタルカメラ、テレビ、ラジオ、音楽プレーヤー、電子マネーに定期券、さらには歩数計やカロリー計算機能まで備える日本の携帯電話は、世界最高水準のデジタルツールだろう。
しかし、これだけ充実した日本の携帯電話も、世界市場ではまったく通用しない。国内の高いニーズに合わせて独自の形で進化しすぎたため、世界標準からあまりにかけ離れた存在になってしまったのだ。こうした現象は、ガラパゴス諸島の特殊な生物学的進化になぞらえて、最近では「ガラパゴス化」と呼ばれている。
そして日本のガラパゴス化を象徴するものといえば、携帯電話でもデジタルテレビでもなく、なんといっても「会社」だ。年功序列・終身雇用制はもちろん、社員旅行に社章・社歌の存在まで、日本の会社は間違いなく独自の形で進化している。
こんな話を持ち出したのはほかでもない、現在の経済情勢ゆえだ。
2008年9月のリーマンショック以前まで、外資系企業で働くことはちょっとした羨望の的だった。彼らの語る成果主義や実力主義という言葉は非常に合理的で、いかにも理想のシステムに感じられた。そしてアメリカ発のメソッドを紹介するビジネス書は軒並みベストセラーになり、誰もが合理化や効率化をめざそうとした。
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