【第12回】
そもそも、どんなデータを解析すべきか?

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人がその本当の面白さを知っているだろうか。この連載では、cakesという新しいプラットフォームに相応しい、最新かつ最も刺激的な統計学の世界を紹介したい。(毎週火・金更新)

裏ワザを見つける3つめのポイント

 「適切な比較を行なうこと」、そして「ただの集計ではなくその誤差とp値についても明らかにすること」。この2点を意識しさえすれば経験と勘を超えて裏ワザを見つけることが容易になる。

 だがこの2点を理解したつもりで、いざデータを分析しようとしたときにしばしば問題になるのは、「適切な比較」とは何か、あるいはもう少し具体的に言えば「いったい何と何を比較すればよいのか」という点である。

 前回前々回ではよくある典型的な事例として「購買金額」や「購買率」といった売上に直結する指標を様々な切り口で比較してみたら、という話をした。だが、ビジネスにおいて比較すべき情報は売上だけに限った話ではない。

 どんな分野の学者や実務家であっても、統計学をある程度マスターすれば「どのようにデータを解析するか」ということはわかる。だが、実際に研究や調査をしようとすれば、「どのようなデータを収集し解析するか」という点のほうが重要になる。これはしばしば研究者としてのセンスという言葉で片付けられることも多い部分だが、もう少し噛み砕いて考えれば誰でもこのセンスを身につけることができるのだ。

 では、私たちはいったいどのようなデータを比較し、その違いを生み出しうる要因を探し当てればよいのだろうか?

ビジネスにおける明確なゴール

 その答えを一言で言えばごく簡単だ。「目指すゴールを達成したもの」と「そうでないもの」の違いを比較しさえすればいい。あるいはゴールを達成するという表現は「自分にとってより理想的」とか「より好都合」と言い換えてもいいかもしれない。

 こういう風に説明すると、「それでは目指すゴールとは何なのか?」という質問をいただくこともあるが、その質問に対して私が返せる最も正確な答えは「知らんがな」である。あるいはもう少し紳士的に言うと、「それは人それぞれですね」ということになる。

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統計学が最強の学問である

西内啓

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたして...もっと読む

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