無期限活動休止から3年
さて、cakesでの連載も残り3回である。400回以上続けてきた連載で、2度ほど過度な西野カナ好きの編集者に話を聞いているのだが、ずっと読んでくださっている人でもおそらく記憶は薄いはず。書いているこちらも同じだ。書いた内容なんてほとんど覚えていない。2019年に無期限活動休止を発表して以降、彼女は表に出てきていないし、若者の間で「今こそ逆に西野カナ」というリバイバルが起きているわけでもない。どんな存在でも接触機会が少なくなれば、印象は薄くなってしまう。それは、彼女への評価とは関係がない。
前回、話を聞いてから、もう3年以上が経過している。前回の原稿を振り返ってみたところ、その熱烈なファンの編集者は「今回の判断は寂しいけど、安堵もした。納得もした。なぜって、共感を取り損なっていくカナを見たくなかったから」などと、あたかも自分が誰よりも彼女のことを知っている、というような言い回しで自分勝手なことを述べていた。適切な言葉が見当たらないので、ちょっと直接的な言葉を使ってしまうけれど、とても気持ち悪かった。
「恋する気持ちをもう一度」
あれから3年以上も動きがない。編集者のおぐらりゅうじ氏は、以前この連載で取り上げた時には、ある雑誌の編集部に勤めていたのだが、その後、別の出版社の編集部に転職、現在はフリーランスの編集者だ。彼には大きな変化があった。一方、西野カナは動きを止めたままだ。自分は激変し、彼女は動かない。ならば、彼女への熱量だって下がるだろう。そのことを問いつめるつもりはない。これまで追いかけてきた意義とか意味とか、そういうものを総括してほしかっただけだったのだ。