​長く続くお店、すぐに変わるお店

今回の「ワイングラスのむこう側」は「長く続くお店とはどういうものか?」について考えます。成功する経営者は「お店はもって5年」と考えるそうですが、長く続けるためにはどのような考え方が必要なのでしょうか?

できる経営者の考え方

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

先日、僕のnoteに、「長く続く店の共通点って何かありますか?」という質問が届きました。これ、「長く続く会社」ではなく、「ヒットする、儲かるお店」でもなく、「長く続くお店」というところがポイントですよね。

アヒルストアという自然派ワインの有名なお店が奥渋谷にありまして、このお店が開店して1ヶ月くらいの時に、妻とふたりで行ってみたんですね。その時はまだ開店したばかりだったのでお客さんは僕らだけで、でも入って数分くらいで、「うわあ、このお店、すぐに大ヒットする。すごく話題になって、入れないお店になる」って感じて、それをそのまま店主の斉藤さん兄妹に伝えたんです。

斉藤さんたちはその時、「ええ? そうなるといいんですけどね」って笑っていたのですが、いまや本当に「伝説のお店」になってしまいました。その後、近所なのでお店が終わった後に、斉藤さんたちがよくbar bossaに立ち寄ってくれたんですね。それでふたりに「いやあ。やっぱり大成功でしたね。これからもっと大きい2店舗目とかお店をプロデュースとか考えてるんですか?」って聞いたところ、「全然そんなこと思ってないですよ。僕らはずっとあの場所であのお店をやり続けて地元のお店になりますよ」って言ったんです。

もう10年以上前の言葉なので、もしかしたら本人たちの気持ちも変わっているかもしれませんが、その時に感じたのは、「最初にお店を始めるときに、この1店舗だけの売り上げで十分生活はできて、それをただただ自分の生業として続けていくって想定しているお店ってずっと続くんだなあ」ってことでした。

新しく開いたお店がすごくうまくいって行列ができると、「入店できないお断りしたお客様の存在」がまず気になるんですね。「じゃあ2店舗目を開いて、入れないお客様はそっちに入ってもらおう」ってついつい考えてしまうんです。

あるいは、お店って「作品」でもあるから、「じゃあ今度はこのメニューをこう変えて、こういう場所でこういう内装でやってみようかな」っていう「クリエイター心」もすごく揺さぶられてしまいます。

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林さんの小説が文庫化されました

ケイクス

この連載について

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

datadisk_tokyo 僕がいちばん好きなバーも、昨年21周年を。なぜ通い続けるのか僕はそのバーに。best bar ever。 長く続くお店、すぐに変わるお店|林伸次 @bar_bossa | 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

bar_bossa 昔は商店街にずっと根付くつもりでやってたんですよね。​ 長く続くお店、すぐに変わるお店|林伸次 @bar_bossa | 約1ヶ月前 replyretweetfavorite