とにかくパンダ
あくまでも自分調べだが、人間のパンダに対する熱量というのは「過剰」と「皆無」の両極に二分されやすい。「まぁ、かわいいとは思うよ」くらいの意見があまり出てこないのは「かわいい!!!」の熱量が常に前面に出ているから。上野動物園の入り口でカメラを向ければこの熱量を難なくゲットできる。先週とりあげたスーパーアキダイの秋葉社長同様、「ここにいけば確実に使える映像が撮れる」というのは、結果的に私たちの視聴頻度に直結してくる。
東京に住んでいると、コロナ対策のポスターに使われているパンダを頻繁に見かける。パンダがマスクをしていたり、パンダがパンダのロゴの入ったパソコンでテレワークをしていたり、「お食事は青いステッカーのお店で」と、レストランでパンダが笹の葉を食べていたりする。東京都はこのコロナ禍でとにかくパンダに頼った。新型コロナワクチンの接種証明として使える「TOKYOワクションアプリ」の登録者を増やすため、開園前の上野動物園でジャイアントパンダのシャオシャオとレイレイを観覧できるプレミアム入園券を特典のひとつにしたのだが、そのアプリへの登録を促すイラストにもパンダが使われている。パンダがパンダを見に行くために登録する、という不可思議な状態が生まれているのだ。
誕生日イベントを都知事に仕切られるパンダ
この2年間、無数のパネルを掲げて困惑させてきたこともあり、小池百合子都知事の動向に注目してきた。今でも、毎週金曜日に行われる知事の定例会見の文字起こしを読むようにしているのだが、ここでも頻繁にパンダが登場する。たとえば5月13日の会見では、「ということで今日は、最後、最後、もう1本ありました。パンダです。上野動物園のジャイアントパンダのシャンシャンについてのお知らせです。動画見ていただきましょうね」と切り出し、動画を見せた後で、「はい、これもう、ずっとシャンシャンの竹を食べる姿を見ているの、ああーちょっと何するんだ、何するんだ。歯磨きかと思ったら、違うんですね。はい、すごい食欲です」と続けている。黒柳徹子の声を真似ながら読み上げてみるとなんだか許せるが、知事の会見だと思うと、やっぱり許せなくなる。そんな反応をするのは「今年も『花粉症ゼロ』の公約を放置しましたよね」とわざわざ憤っている私だけなのだろうか。