​「何者かになりたい」と思ったら読む記事

今回の「ワイングラスのむこう側」は、誰もが一度は考える「何者かになりたい」という思い込みについてです。少しでも悩んだことがある人は、ぜひ読んで考えてみてください。

昔の人は「何者かになりたい」なんて悩まなかった

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

あなたは、「何者かになりたい」と思ったことはありますか? 自分はレールの敷かれた人生を送るような人間にはなりたくない、満員電車にゆられて上司や得意先に頭を下げて帰りに居酒屋で上司の悪口を言ってうさをはらすような人間にはなりたくない、自分には何か才能があるはずだ、自分がこの世界に生まれてきたのは何か理由があるはずだ、意味があるはずだ、それを探して、自分の生きている意味を見つけて、この人生を全うしたい、って思うことはありますか? 僕は、もちろんあります。

でも、例えば昔の日本では、そんなことを思う人はほとんどいませんでした。農家で生まれたら、自分も農業をやることを疑いませんでした。自分がなんの仕事をするべきか悩む必要はなく、もちろん「今年、米の出来が悪かったらどうしよう」という心配はあったかもしれないけど、それは「どうしようもないこと」だったはずで、毎日の農作業と家族や村の人たちとの会話、たまにあるお祭りや男女の交流、新しい家族、周りの人たちの死という体験していると、あっという間に人生は終わったんだろうと想像します。立ち止まって「いったい自分の人生って……」なんて、無駄なことを考える人は皆無だったでしょう。

僕は大学を中退して、ロンドンやリオデジャネイロに行ったり、色んなアルバイトをしました。当時は「自分探し」なんて言葉もありませんでしたが、こういうのって「ここ最近」の現象なんですよね。橘玲さんがウェブの記事でこんな話を書いていました。

今はSNSを開けば、ビヨンセやレディー・ガガ、マイケル・ジョーダンといった有名人たちが「自分らしく生きて夢をかなえなさい」「人と違っていてもいい、あなたらしく生きていけばいい」という強いメッセージを送ってくる時代です。しかし彼らのように成功できる人など、現実にはほとんどいません。「強く願えば夢はかなう」と信じて、かなわなかった人たちはどうなってしまうのでしょうか。

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林さんの小説が文庫化されました

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この連載について

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

kawac "何かをつかむ人って地道に努力しているし、地道に営業しているし、地道に何度も何度も打席に立っています" - 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

AizuLover “何かをつかむ人って地道に努力しているし、地道に営業しているし、地道に何度も何度も打席に立っています。” 「何者かになりたい」と思ったら読む記事|林伸次 @bar_bossa | 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

noyagi_88 いまちょうど「もっと進化したい〜〜!!!」思ってるときに読めて、めちゃくちゃ刺さった……!!!! 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

sayu_on_a_diet 「何者かになりたい」と思ったら読む記事|これは本当にそう思う。 何者にもなれなくていいって自分を許してあげないと、 子どもに自分の夢を託すクソ親になりかねない https://t.co/bFAavmHCFC 約2ヶ月前 replyretweetfavorite