借りパク奇譚

他人から時間を奪ったという女の告白 #12

【前回までのあらすじ】これまでの「借りパク」を懺悔するために寺に集まった男女4人。主人公・竹中たかし(儀式名たけし)は、友人の山田(儀式名カンバルジャン)の懺悔に不可解な点があることが気にかかる。そんななか、最後の告白者であるクロエが「私は、他人から時間を奪い、自分の時間が増えるという体験をした」と語りだしーー。前回のお話はこちらからどうぞ。

「過去、人生の中でどうしても時間が必要な時期がありました。時間がいくらあっても足りない。そう感じていました。仕方がないので必然的に睡眠時間を削っていたんですが、私はそこまで体力がある方ではなく、もともと寝不足だとダメなタイプでしたので、それが原因で余計効率が落ちてしまう、そんな悪循環にハマっていました。

どうにかしなきゃ、そう思っていた矢先、知人の女性からあるバイトを紹介され私は働いてみることにしました。こう聞くと一見矛盾しているようですが、なんとそのバイトはバイト代として「お金」ではなく「時間」が支払われるバイトだったんです。

いったい彼女がどんなきっかけでそのバイトを知ったのかわかりません。ただ、確かにそのバイトは報酬として時間がもらえるバイトでした。

彼女から初めてそのバイトの話を聞いた時、私は彼女が私をからかっているのだと思いました。当然ですよね、報酬として時間をもらえるなんて信じろという方が無理です。世の中みんな、時間をお金に変えて生活しているわけですから。しかし彼女は報酬として、バイトにかけた時間より多くの時間をもらい、結果、自分の時間を増やせていると言い張ります。結局、わらにもすがりたかった私は半信半疑のまま、ダメもとでそのバイトの面接を受けに行くことにしました。

この続きは有料会員の方のみ
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

この連載について

初回を読む
借りパク奇譚

宮藤宙太郎

この世にはびこる「借りパク」。それを懺悔し、みそぎができる寺があったら…? 今まで散々借りパクしてきたという悪友に巻き込まれる形で、みそぎに参加することになった主人公・竹中。そこに新たな2人の男女も加わり、奇妙な形で儀式が進んでいく。...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません