芸能人が立候補する季節

この夏に行われる参議院選挙では、たくさんの有名人の立候補が予定されています。しばしば問題になる、有名人の出馬ですが、今回は日本維新の会から立候補する中条きよしについて、武田砂鉄さんが考察します。

「今は選挙中なのでごめんなさい」

この夏の参議院選挙に向けて、生稲晃子、中条きよし、松野明美、高見知佳などの芸能人・有名人が立候補を表明している。すでに地方議員として務めていたり、政府系の会議に参加したりしてきた人もいるが、多くの人がその姿を見て、「ああ、もうそういう時期か」と気づき、「まだこういう感じでやるのか」と呆れ、「え、本当に受かったの」と驚くかもしれない季節がやってくる。「批判なき政治」や「(経済政策や憲法改正について問われ)今は選挙中なのでごめんなさい」と答えた元SPEED・今井絵理子の対応を思い出す時、知名度を無視して、「とにかくまず、その人が何をやろうとしているかを見なければいけない」という当たり前のことを再認識する。だが、「どういうことをやろうとしているのか」ではなく、あらかじめの知名度に「何かしらをやろうとしているらしい」という薄い意思だけを付け加える感じが繰り返されている。

返品不可の高額商品

どの政党・どの候補者に投票しようがもちろん各人の自由なのだが、これまで自分の周りに「私はあの芸能人に投票したよ!」という人がいない。でも、なぜか大抵受かっている。「テレビで見たことあるし、なんか元気そうでいいじゃない!」という褒め言葉は、そのまま、政治の担い手としてふさわしくないという証明にもなると思うのだが、現職の政治家たちも、選挙になれば、実績や展望よりもイメージの獲得に急ぐから、あらかじめイメージが染み渡っている人たちが有利になる。議員になってからといって変わらない。昨年、都議選の応援演説に登壇する今井絵理子が、その告知画像で、新型コロナワクチンについて「SPEED接種」を実施していくと宣言し、その「SPEED」が当時のSPEEDのロゴを真似たものだった。まだこんな感じなのだ。

昨年、全国各地の選挙を取材し続けるライター・畠山理仁と対談した際、選挙というのは「返品不可の高額商品を見定める場」だと繰り返しており、膝を打った。ネット注文した洋服に大きな穴が空いていたら返品するし、CDショップで買ったビートルズのCDの中身が、なぜかボサノヴァカヴァーのコンピレーションだったら困惑する。私たちの税金の使い道を決める政治家がどのような判断を下す人たちなのかは、往々にして、投じた後にわかる。かといって、なぜか「話が違うよ」となりにくい。選挙公約を達成しなくても開き直る。返品不可の高額商品が居座っている。「新生活家電7品セット」を頼んで、送られてきたのがなぜか5品で、そのうち3品の動きがすでに悪い、という事態が続けば、その電化製品店は潰れると思う。選挙で選ばれた政治家は、なぜかそうならない。

キスされた高校生を問題視していた
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武田砂鉄責任編集。多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

masarukana 選挙というのは「返品不可の高額商品を見定める場」 https://t.co/EG13p3TwK5 8日前 replyretweetfavorite

10ricedar 今回も笑った 9日前 replyretweetfavorite

toyomann https://t.co/nLQawCmKUL 12日前 replyretweetfavorite

USC_party ともかく当選すりゃ党も本人もウハウハだからね。 12日前 replyretweetfavorite