広末涼子が「ずっと眠い」と言っていた

今回取り上げるのは、俳優の広末涼子。テレビから流れてきた広末のある一言から、芸能人としての彼女の半生を考えます。

「私の人生、ずっと眠いから」

土曜日の朝、寝ぼけ眼でテレビを見ていたら、広末涼子から「私の人生、ずっと眠いから」というパワーワードが聞こえて一気に目が覚めた。『ズームイン‼︎ サタデー』での鷲見玲奈によるインタビューだったが、エッセイ集『ヒロスエの思考地図』の宣伝だったようで、子育てと仕事の両立で忙しくしているなか、今回のエッセイの執筆時間を捻出しようとしたら朝4時から6時しかなかった、といった旨を述べていた。その過密スケジュールを指摘した流れで出てきたのが、「私の人生、ずっと眠いから」だった。

広末涼子の人生はずっと眠かったと聞けば、ほぼ同世代ということもあって、うっかり自分と比較してしまう。金曜日の夕方、部活をサボって家に着き、「えっ、月曜の朝まで特にやることないんだけど」と途方に暮れた日も、「寝すぎて疲れて逆に眠い」みたいな日も、広末涼子はずっと眠かったと思うと、申し訳ない気持ちにもなってくるのだが、特に謝る必要もない。「MajiでKoiする5秒前」と元気に歌っていた頃、実際問題、5秒後に何が起きそうだったかといえば、恋するよりも寝落ちする可能性が高かったようなのだ。

なぜ時間が長く感じられるのか

顔を洗い、街に出て、書店に出向き、広末のエッセイ集を購入する。学生時代から台本と共にカバンに入れてきたのが哲学書だったそうで、そこで知った言葉を入り口にしたエッセイが並ぶ。哲学者の言葉を抽出して格言化するのは一昔前に流行った手法ということもあって、その点に感化されることはなかったが、やはり、ここでも「時間」の話が興味深い。ゲーテの「誠実に時間を利用せよ! 何かを理解しようと思ったら、遠くを探すな。」を紹介するエッセイで、学生時代、『ソフィーの世界』の著者と「時間の相対性理論」を語ったという。

「大切な時間や熱中している時の〝時間の流れの速さ〟と、退屈な時間や不安な時の、時が止まったかのように〝時間が長く感じること〟を、図式化してお話しした」そう。その図式化がどのようなものだったかは具体的には触れられていないが、「〝時間〟は一生、追いつけない、きっと答えには辿り着けない永遠のテーマなのだろうなと思う」とあるし、別のインタビューで、学生時代は、読書感想文の宿題を出されても全てを読まずに「まえがき」と「あとがき」だけ読んで書いていたと明かしているので、とにかく、広末涼子は、ずっと時間がないし、ずっと眠いのだ。

読まずに読書感想文を書く方法

自分もよく、本編を読まずに読書感想文を書く、という悪行をしていた。読書感想文というのは、目的(=先生を満足させる)がハッキリしているので、正直、その手法で構わない。「まえがき」にその本の狙いや書きたいことが明示されていて、「あとがき」に書き終えた著者の気持ちが書かれていたら、その間を、自分の気持ちの変遷で埋め込めばいい。この変遷は自由演技が許されるから、たとえ本編を読まなくても書き上げられるのだ。

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武田砂鉄責任編集。多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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TsukiNoMulavito 本当は自分が書きたい書けるようになりたい文章ってこういう感じだったりする。 ちなみに広末さんと誕生日一緒。どうでもよすぎる。 https://t.co/gJaTtYwExW 約1ヶ月前 replyretweetfavorite