20代、恋愛にまつわる愚痴
ヘミングウェイ(小説家)
1899年-1961年。アメリカの作家。『日はまた昇る』『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』等を著し「失われた世代」の代表とされる。『老人と海』でピュリッツァー賞を受賞。1954年には、ノーベル文学賞を受賞してもいる。
作家として自信を持てなかった若き日
アメリカ文学を代表する文豪ヘミングウェイ。多くの人が彼に対し、陽光や大海原、そして笑顔がよく似合う活動的な男性、というイメージを持っているのではないだろうか。それは彼が長年暮らしたキー・ウェスト(フロリダ)やハバナ(キューバ)といった海沿いの町や晩年の名作『老人と海』の印象が影響している面もあるかもしれない。
彼は幼少の頃から父に連れられ、釣りや狩猟に打ち込み、その趣味は大人になっても続いていく。ハイスクールではフットボール部に所属していたスポーツマンでもある。
そんな活動的なヘミングウェイだから、くよくよと悩んだり、愚痴をいったりはしないイメージもあるのだが……実はそうでもない。特に恋愛に関しては、大きな悩みを抱えてきた人間である。
よく知られているのが、19歳の時のこと。第一次大戦の際、赤十字要員としてイタリア戦線に立ち負傷した彼は、看護師として働いていた7歳年上の看護師アグネスと出会い恋に落ちた。
その後、落ち着いたら結婚するつもりで帰国した彼のもとに、アグネスから手紙が届く。別れの手紙だった。