借りパク奇譚

借りパクしたなかで一番後悔しているもの #7

【前回までのあらすじ】これまでの「借りパク」を懺悔するために寺に集まった男女4人。住職の指示に従い、今まで借りパクしてしまったものを皆の前で順番に告白していく。主人公の竹中は、3人の告白の内容に疑問を感じるが、謎は解けないまま儀式は進んでいきーー。前回のお話はこちらからどうぞ。

「皆様、ありがとうございました。よく正直に話してくださいました。どうでしょう、ここで皆様の勇気をお互いに称え合い、拍手を送り合いましょう」

亮潤の言葉に、皆、戸惑いながらも拍手を始める。

パチ パチ パチチ。

パチパチパチパチ! 木がはぜる音に負けないくらいの音を立てる、『パチバルジャン』。お前には「勇気」より「狂気」を感じたがな。おれは思う。

「ありがとうございます。皆様は無事、門の前までやってきました。これから一緒にこの門を潜っていきましょう。ではこれより、『問答の儀』に移っていきます。私が皆様にいくつか質問しますので、皆様は引き続き、それに正直に答えて下さい」

「はい」

「問います、皆様は過去に自分が借りパクされたことはございますでしょうか、あるという方は挙手してください」

全員が手を挙げる。

「ありがとうございます。ではその中で、今なお返して欲しいと思うものは存在しますか? あるという方は挙手してください」

おれとクロエが手を挙げる。

「問います。皆様が懺悔した借りパクしてしまったものの中で、現在一番後悔している、もしくは気になっているものを教えて下さい。発表は、『懺悔の儀』の逆順でお願いします」

「時間です」とクロエ。

「成田千佳です」とカンバルジャン。

「タイヤです」とボンネ。

「文庫本です」とおれ。

レモンも文庫本もその限りではないが、仕方ない。

「よろしい。では皆様、目を閉じて下さい」

おれたちは目を閉じる。

ついに待ちに待った瞑想タイムだろうか? 反省の足りない、心が乱れたものを亮潤様が警策でパシパシ叩く。亮潤様、山田に関しては肩ではなく頭を、いや、足のスネをおもいっきりお願いします。おれは本気でそう願う。

「問います。皆様が今答えたものについて、もし仮にそれを今、持ち主に返すことができるとしたら、皆様はそれを返しますか? 返すという人は挙手して下さい」

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この連載について

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借りパク奇譚

宮藤宙太郎

この世にはびこる「借りパク」。それを懺悔し、みそぎができる寺があったら…? 今まで散々借りパクしてきたという悪友に巻き込まれる形で、みそぎに参加することになった主人公・竹中。そこに新たな2人の男女も加わり、奇妙な形で儀式が進んでいく。...もっと読む

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