プロ野球の現実はフィクションを凌駕するのか

作家・評論家の本田透さんが、プロ野球の現実がフィクションの想像力を上回りつつある現状をコラムとして綴りました。ひと昔前のプロ野球とは大きく異なった昨今の球界が垣間見える内容となっています。

 横浜ベイターズの身売り騒動が持ち上がった頃、僕は「もしドラ」のブームに便乗したふりをして、以前から書きたかったプロ野球小説を書こうとしていました。

 その内容といえば、万年最下位チームの横浜ベイスターズを単なるプロ野球ファンの主人公が買収し、チーム力の強化に乗り出す—だけではなく、平然と球界の不文律・タブー・既得権益などを破壊して世間を大混乱させるという筋書きで、悪役は言うまでもなく球界のドン・大東京巨人軍の闇の支配者ナベツネ先生というわけです。ベタですが。

 2010年のオフに、ベイスターズを住生活グループに売るんだとか売らないんだとかで、ずいぶん揉めましたよね。しかも、さっさと売っておけばいいものをナベツネ先生があーだこーだと文句を言って結局身売り話が流れたりしていたような記憶があります。むむ。そこで、巨人軍の実質上のトップであるナベツネ先生がプロ野球界を支配していていいのだろうか、と思ったわけです。

 ベイスターズの件以外にもいろいろありまして、たとえば先日引退しました金本兄貴の晩年のレフト守備が大変なことになっていたのにタイガースで食っている解説者たちが何も言えないとか、そもそもこのインターネット時代にスポーツマスゴミはいつまで大本営発表という名の捏造を垂れ流すのか? とか、まあいろいろと当時のプロ野球界に対して僕が抱いていた鬱憤をこの小説内で「これはフィクションですから」と言い張ってズバズバと斬っていく予定だったのです。

 ところが、21世紀はインターネット時代。もはや出版のスピードが現実のスピードにまるで追いつきません。20世紀末に野球ネタ系テキストサイトを運営していたかつての時代と、ツイッターその他によって情報が瞬間的に飛び交う今とでは、もう時間の流れが違いすぎます。

 そうです。僕がくだんの小説を書くよりもはやく、現実の横浜ベイスターズが身売りしてしまったのです。買収先は、なんとDeNA。住生活グループに文句をつけていたはずのあのナベツネ先生が、DeNAならまあいいやと。な、なんでやね~ん!? この時点で僕が構想していた小説よりも現実のほうが圧倒的に面白くなってしまったのですが、僕にとっての悲劇はさらに続きます。

 新生横浜DeNAベイスターズの新監督が、中畑清!? さらに、村田が巨人へFAして、ラミレスがDeNAへ入団? GMは……た、高田ッ!? お……面白すぎるっ!

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