「ハムソー」は悩ましい食材
目玉焼きに焼いたベーコンを添えた「ベーコンエッグ」は朝食の定番。ベーコンはそのまま焼いてもおいしく、パスタやスープなどあらゆる料理に活躍します。
一方、レシピ考案者にとっては悩ましい食材の一つでもあります。というのも使うベーコンの種類によって出来上がりが変わってしまうからです。
例えばベーコンエッグにクリスピーな食感に焼き上げたベーコンを添えるとしましょう。そこでレシピにベーコンを弱火でじっくりと焼く、と書いたところで、Aというベーコンはカリカリになりますが、Bだと「縮んでいくばかりでカリカリにならない」という事態が起きます。これはなぜでしょうか?
スーパーに行くとハムやベーコン、ソーセージなどのコーナーがあり、食肉業界ではこれらをまとめて「ハムソー」と呼びます。今回のテーマは「ベーコン」ですが、どれも豚肉を塩漬けし、適度な味になるまで塩を抜き、それを燻製にしたり、ボイルしたものなので、まとめて解説していきます。
いいものを選ぶ基準は「値段」
ハムやソーセージ、ベーコンは様々な種類があり、これらの山からどの製品を手に取るかは難しい選択です。
ベーコンに限らず「ハムソー」類を見分けるポイントの一つは「値段」です。身も蓋もないことに聞こえますが、これらの食材はもともと豚肉を加工したもの、と思いだしてください。例えばロースハムが100g128円で販売されていたとして、隣の精肉コーナーで豚ロース肉を覗いてみてください。豚ロース肉は100gあたり280円程度でしょう。
考えてみれば不自然だとわかります。日本では食糧事情が悪かった時代に安価なハム、ソーセージ、ベーコンが先に広まったこともあり「ハムやソーセージ、ベーコンは安いもの」というイメージがありますが、本来であれば豚肉+加工賃がかかっている分、ハムやベーコンの方が高くて当然なのです。
安価なハムやソーセージ、ベーコンはどうやって作るのでしょうか? 仕入れなどの努力もありますが、大雑把に言えば1kgの肉から1.2kgの製品をつくるなどして、価格を下げています。そのためには様々な方法がありますが、例えば注射器で塩水を注入し、タンブラーという遠心分離機に似た機械で回し、肉に水分を吸収させます。これで1kgの肉が水の分だけ増えるのです。
一方、肉に水分を吸収させても、それは加熱すれば流れてしまいます。そこで大豆や乳、卵由来のたんぱく質を足したり、肉の保水性を上げるためにリン酸塩ナトリウムを添加したりします。それらの工夫によって安価な製品は実現できるのです。
財布のことだけを考えれば安価な製品も悪くはありませんが、ベーコンに限っては一つ問題があります。水分を含ませているので、加熱してもカリっとならないのです。これが最初に述べた「縮んでいくばかりでカリカリにならない」ベーコンの正体です。
スーパーで買える良いベーコンとは
水っぽいベーコンは味が薄いので、少々高くてもいい製品を選んだほうが使用量が減らせ、結局は経済的です。そこで今回、おすすめするのはこちら。