こんにちは、自炊料理家の山口祐加です。日々の自炊を楽しみながら続けていくコツをお伝えする連載も最終回になりました。第8回は「料理をより楽しくする秘訣」がテーマです。自炊のいろはを覚えてきたところで、もっと料理を楽しむヒントをお届けしたいと思います。
節約や健康のために自炊を始めた人も多いと思いますが、何より続けていくために必要なのは「自炊が楽しめるかどうか」です。仕事でも同じですが楽しみながら取り組めば、興味関心を持ててやればやるほど面白いと感じます。人それぞれ楽しい!と思うポイントが異なるので、自分はこのタイプかな?と想像しながら読み進めてみてください。
お気に入りの器をひとつ持つと、料理がグッと楽しくなる
料理の楽しさの一つにお皿選びがあります。自炊初心者さんは実家から適当に持ってきたお皿や、量販店や100円均一などでとりあえず買っておいたお皿を使っている場合が少なくありません。料理する人がそれらの器を気に入って使っているならなんら問題ないのですが、もしお気に入りがないのであればぜひ一つ買ってみることをおすすめします。
お皿は料理の額縁。自分の気に入ったものを使うとより料理もおいしそうに見えます。気に入ったものが高かったとしても、割れない限りは一生使えますし、楽しい自炊生活を続けるための良い先行投資だと思います。
たとえ割れてしまっても、日本古来の器修繕方法「金継ぎ(きんつぎ)」でお皿を直すこともできます。金継ぎは漆や金粉を使って直す方法で、漆を乾かすのに時間はかかりますが大事なお皿が直った時の感動は大きいです。また「簡易金継ぎ」という合成樹脂を使った方法は、通常の金継ぎより時間がかからず、安価です。私はどちらのやり方も習って自分で割れた器を直しています。金継ぎで検索すればワークショップや修繕依頼が見つかります。
話を元に戻します。器の揃え方ですが、たくさんあっても出番が少なくなってしまうので、本当に気に入ったものだけを買いましょう。買い換えるなら、まずは出番が多いメインの料理を盛り付ける18〜20cmくらいのお皿で、1cmくらいの深さがあるものを買うのがおすすめです。
器の値段はピンキリですが、「民藝」というジャンルは手頃かつおしゃれに見えるお皿が多いです。産地は栃木の益子焼、大分の小鹿田(おんた)焼、沖縄のやちむんなどがあり、どの器も日常的な料理が馴染むお皿です。
民藝の器を専門で扱っているお店もたくさんありますし、旅行先で器屋さんを探して買ってみるのも思い出になります。好きな器があるだけで食卓も心も豊かになりますよ。