ファーブル「毎日食べるパンにも困りだした」

歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉にナイチンゲールまで、人生の苦境で言わずにおれなかった愚痴150篇。女性への未練、お金の無心や仕事の焦り、家族への恨みなど現代人と変わらない不平不満です。読めばなぜか勇気がわいてくる、愚痴ノンフィクション! 10月21日発売の近刊『人間愚痴大全』より特別公開します。(提供元:小学館集英社プロダクション)

20代、お金にまつわる愚痴

ファーブル(昆虫学者)

1823年-1915年。昆虫学者、博物学者。フランスの寒村サン・レオンに生まれる。中学校の教員などをしながら、大好きな昆虫類などの研究に勤しむ。主著となる『昆虫記』全10巻は多くの国で読まれる名著となった。

貧困にあえいだ昆虫学者が欲しかったもの

ファーブルの『昆虫記』といえば、知らない人は少ないのではないだろうか。昆虫の生態を詳しく観察し、自伝的要素も絡めながら記録した名著である。

世界的にも知られるファーブルは、実は幼少期、貧困に悩まされていた。それはのちに彼自身が、

毎日食べるパンにも困りだした。人生は恐ろしい地獄となった

とまで語っているように、困窮を極めたものだった。元々貧しかったうえに、父がはじめたコーヒーショップが失敗してから、一家はほぼ破産状態。ファーブルは10代半ばで肉体労働をしながら、貧窮の中、1日1日を、なんとか生き延びていくことになる。

しかし、そんな彼を支えていたものが二つあった。一つは、子どもの頃から旺盛だった学びへの意欲。小さい頃には王立学院に通っていた時期もあるくらいで、本来は優秀で、知的好奇心も豊富な人間だったのだ。もう一つが、南仏の美しい自然。生気あふれる緑の葉やさまざまな昆虫たちは、彼の友だちであり、知的好奇心を満たす対象でもあった。

やがて15歳の時にアビニョンの師範学校の試験を受け合格する。この学校には宿舎があり、食事も提供された。貧しくとも失くすことがなかった学問への意欲によって、毎日のパンに困らない生活を手に入れることに成功したのだ。

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なぜか、勇気が出てくる。不平不満の150篇。

人間愚痴大全

福田 智弘
小学館集英社プロダクション
2021-10-21

この連載について

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なぜか勇気が出てくる 人間愚痴大全

福田智弘

「今日も飯はうまくない」「アルコールでごまかすより外なかった」 天才と呼ばれる作家に芸術家、世界を変えた政治家に勇猛な武将まで、歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉に...もっと読む

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