どうも。
少しずつ暖かくなってきました。
お庭の梅の木に花が咲き、春を感じています。
鳥たちも、物凄い勢いで何かを突っついています。
野良猫たちが庭の灯篭に我が物顔で寝そべり、暖を取っています。
突如春一番ッぽい風が吹き荒れました。
鳥は飛び立ち、猫はどこかへ行きました。
インターホンがなりました。
お隣さんが、風に飛ばされた旦那さんのインナーを手に持っていました。
平謝りで受け取りました。
……以上、春の風景をリビングからお送りしました。
演出とはなんぞや
前話にて。 なんとか脚本を書ききりホッとしたのも束の間、いよいよ、本番へ向けての稽古が始まった。
宝塚では稽古期間中はほぼ毎日、朝から晩まで稽古の日々だが、今回の案件は期間がかなり限られていて、対面稽古は週末のみ。 なので、1回の稽古でしっかりと方向を定める必要がある。
机とパイプ椅子の他には何もないまっさらなスタジオに一列に並ぶ声優さん達と向き合い、事前に考えてきた演出を告げていった。
私は、何もない空間から少しずつ芝居の世界に変わっていくさまを演出していこうと考えていた。
なので、下記の様なト書き(演出のこと)を脚本に書き、それに沿って演出していった。
(ト書き)キャストの1人がスタジオへ入って来る。椅子を5脚横一列に並べ、そのうちのひとつに座り、他のキャスト達が来るのを待つ。 そこへもう1人キャストが入ってくる。会釈後アドリブで会話する。
……この、超絶序盤、まだキャスト全員が入ってきてもいないこの状況で、早くも問題は起きた。
キャストのマイクが、「有線」だったのだ。
マイクにコードが繋がっているので、有線マイクの時は基本的に持ったまま移動しない。
アドリブとは言え会話するのならばマイクを持って入ってこなければならない。
マイク片手に椅子を並べるのは相当手間が掛かる……
天真「……今の無しで!」
今まで付けた演出を速攻で却下した。
そして、マイク、椅子、全てが予めセッティングされた所にキャスト全員が入ってくる演出に変更した。
私が良かれと思って考えた演出は、とてつもなく「演劇的」だった。
今や、ドラマやライブなどジャンルを超越して表現している声優さんだが、元来声の芝居を生業とされている方々が挑む朗読劇なのだから、声の演技から始まった方が良いのでは。
……この状況になって初めて、自分が自分の経験値だけで演出してしまっていることに気づいた。
私はどうしても、「舞台演劇」出身者の演出方法しか持っていない。
だが、今求められているのは「朗読劇」の演出。そもそもの考え方を変える必要があったのだ。
稽古が始まってわずか5分。
暗礁に乗り上げてしまった……。
私がしてきた事
稽古が始まる前は、多少の不安はあれど、「演出」に関しては「脚本執筆」よりは自信があった。
というのも在団中、新人公演時や中間管理職時代に、下級生の芝居やグループ芝居での自主稽古をこれでもかと取りまとめてきた、という自負があったから。
タカラヅカは、一つの作品を70名以上で作り上げる。
仮に、全員分のト書きを脚本に書いていたら六法全書くらいの厚さになってしまうので、主演ではない役どころの芝居は自分たちで考え、それを元に演出家の先生に演出を付けて頂くのが基本だ。
例えば、酒場に屯す街の人間たちの場面があったとして、出演者が私以下15名くらいだった場合、まずは大まかな方向性を演出家の先生に指示して頂く。そのあとに自主稽古を開催して、それぞれの芝居や、誰と誰が絡んで、このタイミングで真ん中を見て……など、細かいことまで決めていく。
それ以外にも、稽古のときに下級生の芝居で気になるところがあればアドバイスしたり、稽古したりと、自分以外の役の芝居に関してもかなり首を突っ込んでいた。
なので、自分は割と(勝手に)演出してきた方だ、と思っていたのだ。
しかし……