ケイクスカルチャー

経営者をやってみてわかった5つのこと

株式会社nanapiの代表取締役である古川健介さんは、学生時代から経営者として活躍していました。そして、現在も人気サービスを運営する忙しい日々を過ごす古川さんは、この経営者という仕事にどのような実感を持たれているのでしょうか? その根本的なところがここでは綴られています。

はじめまして、古川健介と申します。「けんすう」という名前でインターネット上では活動をすることが多い者です。

僕は、nanapiというさまざまなハウツーが読めるサービスの会社を経営しています。本格的に始動したのが2009年6月くらいからなので、2012年10月現在、3年ちょっとくらいやっていることになります。

みんなでつくる暮らしのレシピ「nanapi」のトップページ。
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それまでは、浪人生の時に立ち上げたミルクカフェというサービスを大学時代に運営していたり、したらばというレンタル掲示板サイトを運営する会社の社長をやっていたり、そのあと株式会社リクルートというところの事業開発室で、3年くらい新規事業を立ち上げたりしていました。

今31歳になるのですが、3年以上も会社をやっていると、いろいろとわかることがあります。そこで、経営者をやってみてわかったことを書いてみたいと思います。これから経営者になりたいと思う人や、経営者ってどんなことを考えているんだろう?と知りたいビジネスマンの方などの参考になれば幸いです。

1:人にどれだけ助けられているかわかった

経営者をやってみてわかったのが、どれくらい自分が人に助けられているかということです。サラリーマンをやっていると、いろいろな面倒なことをショートカットできます。社会保険について考えなくていいですし、税金についてもあまり知らなくてもいい。経費は精算のフローをちゃんとやれば手続きが済みます。

しかし経営者になると、いろいろなことの全てに携わらないといけません。社長というと偉そうに指示だけしているイメージがある方もいると思いますが、実際に会社をはじめてみると、ボールペン1本買うのも意思決定をしないといけなかったりします(さすがに今ではそこまではしていませんが)。

仕事をする上で、今までどれくらい人に助けられていたのかを知りました。そして、社長になると、内部から外部までいろいろな人と仕事で絡むことになりますが、そのことによって、いかに自分ひとりで仕事ができないかということも感じました。

わりと、サラリーマンをやっている時から、「自分は人に助けられているんだぞ」ということを意識しようとはしていたのですが、実感値としてわかったのは経営者になってからでした。

2:理念がどれだけ大事かわかった

生きる上でビジョンや理念が大事というのはよく言われることです。同じように会社経営でも、理念などは大事なのです。

僕は、実は会社をやるまで「理念とかビジョンとかいらないんじゃないか」と思っていました。言ってしまえば、快適に毎日を過ごせればいいじゃん、くらいに考えていたわけです。

会社をやりはじめたときも、そういうふうに考えていたのですが、人が増えてきて、組織になってくると、会社としての「意思」が大事になります。

会社としての意思とは、それは理念に他ならない。理念がない会社は価値がありません。自分たちはどうしたいのか、そして、そのことによって社会にどういう良いことを起こしたいかがとても大事なのです。

実は、いろいろな会社の理念とかを見て「綺麗ごとばっかり言ってらー!」と思ってました。「本質的じゃないなー」と。そして、「社会をどうしたいか」とか言っている社長とかは、表面的に言っているだけの人じゃないかと思っていました。

しかし、経営者というものをやると、そのあたりが本当に大事ということに気づきます。大事というか、それがないと仕事が回らないのですね。綺麗ごとでもなんでもなく自分たちの意思、そして理念を持たないと、会社というものが運営できない、というところは割と驚きポイントでした。

3:成長スピードの高さにびっくりした

リクルートという会社は優秀な人が多く、若手に仕事をガンガン与えるので、成長速度が異常に早いとされています。リクルート出身の起業家が多いのもそのせいです。

僕も1年目のころから、新規事業のリニューアルの担当者にさせてもらったりと、入社数カ月でガンガン重要な仕事を任せてもらいました。(このあたりリクルートはやっぱりすごいなあ、と思います。)

そのことから、リクルートにいるときには大きく自分は成長していると感じていました。どんどんと知識やスキルを身に着けている感があったのですが、経営者になってからはその比ではありませんでした。

というのも、経営者が成長しないと会社が潰れるのですね。会社が潰れるとどうなるかというと、自分の生活はもちろん、社員の生活や、その家族の生活まで影響があるわけです。

とにかく成長しないとヤバイという焦燥感が常にあります。また、日々、重大な問題が次々と起こります。当たり前ですが、誰も助けてくれません。経営者が解決しないといけないのです。

そういう状態で仕事をしていくと、どんどんと成長できるのですね。感覚値ですが、サラリーマンをやっていた時代の10倍以上の成長している気がします。また、そうでなければいけないのかもしれません。

4:リスクはあまり怖くない

「起業というのは大きなリスクじゃないですか? よく決断しましたね」なんてことをしばしば言われますが、基本的には起業というのはそんなにリスク高くないんじゃないかと、最近思っています。

というのも、就職するリスクと起業するリスクって大差ない気がするのですよね。人生の大きな選択の一つなので、リスクはあるのですが、それは就職するのと変わりません。

就職するというのは、ある特定の業界に入るということなので将来に影響が多いです。リスクが高いです。さらに会社の状況や方針に左右されるので、自分ではコントロールできないところが多いのがリスクです。

起業に関しては、どの分野をやるかによって、利益を出すための効率性が大きく違います。リスクが高いです。ただし自分でコントロールできる箇所が多いので、なんとかなったりします。

特に今は、起業するのにたいしてお金はいりません。僕らの場合は、2人ではじめたのですが、家賃85,000円のオフィスと自分のパソコンだけで始めました。それでなんとかなるものです。それに二人が暮らしていける分のお金を稼ぐというのは、実はそんなに難しいことではありません。

一番のリスクというのは、いざ環境が変わった時の選択肢が少ないという点とだと思うのですね。その意味では、起業家というのはそんなにリスクがないんじゃないかと最近思っています。

5:経営者はジェットコースターみたいな人生になる

経営者というのは、日々の揺れ動きが半端なく大きいです。経営者をはじめる前の僕は、日々なにごともなかったようにゆったりと過ごしているようなタイプだったのですが、経営者になってからは日々、地獄のようなことがあれば、信じられないほどテンションがあがるようなこともあり、一気に激しい日々になりました。

いいことも悪いことも、アップダウンがあると激しく消耗するのが人間だと思うのですが、その分、毎日の生活がエキサイティングすぎて、超楽しいのです。

同じような日々を過ごすということが一切ない生活になります。経営者をはじめる前も毎日楽しかったのですが、それとは全く違った意味での楽しさになり、「生きている」という感じがしています。

おわりに

5つほど、経営者になってわかったことをまとめてきました。

基本的に、僕は起業をすることが偉いとか、サラリーマンがダメだ、という風には一切思いません。単なる選択肢の差に過ぎません。今日はうどんを食べるか、カレーを食べるか、くらいの差しかないんじゃないかと思っています。

しかし、うどんにはうどんの美味しさがあり、カレーはうどんにはない辛さやインパクトがあったりします。もちろんカレーうどんを食べちゃうというのも手です。

どちらがいいというのは本当にないと思いますが、経営者をやってみたいけど怖い、という人は、一度飛び込んでみてもいいかもしれません……!

補足

ちなみに、僕はうどんもカレーも好きなのですが、最近はうどんにハマっています。東京の代々木にあるうどん屋の慎がめちゃくちゃうまいのです。

この店は狭いのですが、うどんを店内で手打ちしています。なので、コシがあってめちゃくちゃおいしい。しかも値段も500円くらいとリーズナブル。これは絶対にオススメです。

ちなみにカレーでいうと、CAMPという店がお気に入りです。代々木や品川にあるのですが、野菜カレーというものがあり、350gも野菜が取れるのですね。野菜がゴロゴロ入っているのですが、全然飽きない味であり、こちらもオススメです。

また、カレーだとゴーゴーカレーは本当にすごいと思います。僕は街を歩いていて芸能人を見た経験が全然ないのですが、ゴーゴーカレーの社長にだけは気づきました。そのくらい僕の中でゴーゴーカレーは大きな存在なのです。

ゴーゴーカレーの中ではカツが人気みたいですが、僕は実はウインナー派だったりします。ゴーゴーカレーのどろっとしたルーと、しゃきしゃきキャベツには、ジューシーなウインナーが合うと思うんですよねえ……。

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この連載について

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古川健介(kensuu)

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