わかる日本書紀

引き裂かれた主人の遺体を持ち去り、そばで果てた忠犬【第32代③】

ややこしい日本書紀をわかりやすく紹介した書籍『わかる日本書紀』シリーズ第4巻から、日本の正史を学ぶ連載。今回は第32代、崇峻天皇の御代のお話(提供元:西日本出版社)。

従者ヨロズの奮戦。崇峻(すしゅん)天皇の即位

物部モリヤ大連(のおおむらじ)の乱が起きたとき、その従者・捕鳥部(ととりべの)ヨロズ(万)※1は、百人の兵士を率いて、難波のモリヤ大連の屋形を守っていました。
モリヤ大連の死を知ると、ヨロズは夜陰にまぎれて脱出し、茅淳県(ちぬのあがた)の有真香邑(ありまかのむら)※2を目指し馬を走らせ、その村の妻の実家に立ち寄った後、山中に隠れました。朝廷はヨロズの処遇を協議し役人に命じました。
「ヨロズは邪心を抱いているから山中に隠れたのだ。速やかに、この一族を亡ぼすべきだ。ぬかるな」

ヨロズは、衣服が破れ垢にまみれ憔悴した顔で、一人で山から出てきました。
役人は、数百人の衛士を差し向けて、ヨロズの潜む山を囲みました。ヨロズは驚いて竹藪に隠れ、縄を竹につないで引き動かしました。衛士らはその仕掛けに惑わされて、揺れ動く竹をめがけて、
「ヨロズはここにいるぞ」
と叫んで駆け寄りました。ヨロズは、そこにすかさず矢を放ちました。矢は全て的中し、衛士たちは恐れて近づけません。

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わかる日本書紀

村田右富実 /つだゆみ /村上ナッツ

『日本書紀』は神代から第41代持統天皇の時代までを扱った日本最古の歴史書です。しかし本文は漢文、全30巻と長く読解は難しいため、正史ながら読んだことのある人はほぼいません。そこで、劇作家が書くわかりやすい文章と、親しみやすいキャラクタ...もっと読む

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