もう一度、新鮮な気持ちでこのワンピースを着たいです

ファッションブランドspoken word projectのデザイナー飛田正浩さんによるリメイクプロジェクト「sauce」。今回は、spoken words projectのお洋服を愛用している女性が、数年前に「sauce」に応募したときのことを思い出して、その時の気持ちを綴ってくださいました。飛田さんもまた、当時のことを振り返り、リメイクにこめた想いやデザインのポイントを依頼者へのお手紙形式で綴っていきます。

あなたのクローゼットで眠っている、着なくなってしまった服を、その服の思い出を添えてお送りください。アトリエのセンスとスキルで思い出と一緒にリメイクをいたします。詳細や応募先は記事末をご覧ください。

当時、飛田さんにリメイクをお願いしたのは、spoken words projectで購入した、紺色のウールのワンピースです。購入したのはもう10年近く前だと思います。大阪の百貨店の催事でした。


まずはspoken words projectさんとの出会いをお話させてください。

子どもの頃から洋服が大好きで、中高生はDCブランド全盛期、バブルだった学生時代もボーダーTシャツに古着のGパン。ボディコンやコンサバスタイルには見向きもしませんでした。

そんな私が40歳前後で、「何を着たら良いか」という、誰もがぶちあたる壁に当たったんです。普通のカジュアルは物足りないし、ナチュラル路線でもない。模索してた時に見つけたのが、spoken words projectの服でした。 軽快で遊びがあって、サイズ感もいろいろ。楽しい!面白い!謎!一目で虜になりました。

この紺色のワンピースは、一見普通の紺のワンピース(なところが汎用性があって、とにかくいろんな場面で着ました)ですが、よく見ると共布で切り抜かれた花が無造作に貼ってあって、隠れキャラのような面白さが好きでした。袖も短くて動きやすいところも私の性格に合っていました。

大好きなワンピースなのに、やはり何年も経つと次第に新しいデザインに心奪われ、出番が少なく....もう一度新鮮な気持ちでこのワンピースを着たいと思い、リメイクをお願いしました。

(ミナコ 女性 51歳 パッケージデザイナー)

ミナコさま

こんにちは。
このワンピースとの出会いのエピソード、ありがとうございます。すごくうれしく読みました。

このコレクションを発表した頃の僕は絶好調の時期ではありましたが、実は絶不調の兆しが現れ始めた頃でした。衝撃告白をお許しください。

spoken words projectはプリントや染色を自らのアトリエで行うブランドです。一着一着を手作業で作るために、アトリエは町工場のような佇まい。当時、やっと理想通りのアトリエができあがった頃でした。

が、その自ら作ることが裏目にでることもあります。目の前で自分の作業にて色を帯びてゆく布たちがあまりにも近すぎて客観視できなくなってしまうのです。製品というよりは作品。理想は増すばかりで作ってはNG作っては不満足のループに入ってしまう。

どんどん一人ぼっちになりゆくアトリエ。

それに気づき始めた時期です。かなり売れていた時期で表向きは華やかなりしブランドでしたが、僕自身の気持ちは不安の暗雲が立ち込め始めていたのです。

「sauce」に応募していただきこのワンピースを久しぶりに見た時、ここだけの話、ちょっと苦笑いが出ました。

なんでそんな話をするかというと、ミナコさんはパッケージデザイナーさんですよね。長期か短期かは別として不調という暗雲に苛まれたりしますか? そんな時どう対処していますか?

その時期僕が行った暗雲の払拭方法は「人の話を聞く」でした。言い換えればその制作を自分一人のこととせず多くの人々を巻き込む、と。

いやこれデザイナーの仕事としては当たり前のこと言ってますね。デザイナーとは各プロフェッショナルを束ねて良き方向にいざない良き製品を作るお仕事。「人の話を聞く」のは当たり前で、「自分一人のことと」したらケミストリーは起きないですよね。

ミナコさんのお仕事になぞらえて考えれば、例えば石鹸の紙のパッケージを作るプロジェクトだとしたら、自ら紙を買ってきてそれを切って文字を書いて折って石鹸を梱包する、と。それを1000個自ら作る、といったおかしな状況です。そりゃー暗雲も立ち込めるわ!と。

さて、今回の「sauce」について解説いたします。

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sauce by spoken words project

飛田正浩

ファッションブランドspoken words projectのデザイナー飛田正浩さんによるリメイクプロジェクトです。読者の方からの依頼を受けて、「その服にまつわる思い出」とともに服をリメイク。そのリメイクにこめた想いやデザインのポイン...もっと読む

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