用明天皇の崇仏
用明二年四月二日、磐余(いわれ)の川上で、即位後初の収穫祭である大嘗祭(だいじょうさい)の儀式が行われました。
この日、天皇は急に体調が悪くなって宮に帰り、つきそいの臣下たちに、仏法に帰依したいので、協議するよう命じました。物部モリヤ大連と中臣カツミ連は、
「我が国古来の国神(くにつかみ)に背いて、他の国の神を敬うのはおかしい」
と反対しました。それに対し、蘇我ウマコ大臣は、
「陛下のお言葉に従ってお助け申し上げるべきで、誰も反対しない」
と主張しました。
そして天皇の弟皇子アナホベは、僧ホウコク(豊国)を連れて内裏の中に入っていきました。
モリヤ大連は、これを横目でにらんで激怒しました。
このとき、押坂部(おしさかべ)ケクソ(毛屎)史(のふびと)※1がモリヤ大連のもとに駆け付けて、側近たちが、モリヤ大連を捕えるため帰り道を塞ごうとしていると告げました。
モリヤ大連はこれを聞いて、直ちに阿都(あと)※2の別邸に逃げて入って、人を集めました。
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