40代、病気にまつわる愚痴
オスカー・ワイルド(小説家)
1854年-1900年。イギリスの詩人、小説家、劇作家。アイルランド生まれ。「世紀末文学」の中心人物といわれ、芸術至上主義を唱えた。戯曲『サロメ』、童話集『幸福な王子』、長編小説『ドリアン・グレイの肖像』などの傑作を残した。
獄中の中で恋人へ綴った思い
童話『幸福な王子』などで知られるオスカー・ワイルドは、恵まれた環境と才能の中に生きてきた人物だった。
アイルランドのダブリンで、著名な医学者の父と家柄のよい文筆家の母との間に生まれ、成育してオックスフォード大学を優秀な成績で卒業した。しかも、残された写真を見てもわかる通り、なかなかのイケメンで、ファッションリーダーとしてももてはやされ、イギリスの社交界で注目を浴び続けた。
しかも、20代で『詩集』を出し、30代の時には『幸福な王子』『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』など童話、小説、戯曲といったさまざまな分野で注目を浴びていた。その幸せを一つでも、あのスタンダールに分けてあげたいと思うような華々しい活躍だったのである。
そんな彼が、
「来る日も来る日も」「泣きつくした」
とは、いったい何があったのだろう。
実はワイルドは、41歳の年に投獄され、2年間も牢獄暮らしをしているのだ。その罪は「同性愛」。当時イギリスでは同性愛は違法とされていたのだ。