14. プロポーズ前夜に読みたい本
『エマ』
ジェイン・オースティン ( 上・下、中野康司訳、ちくま文庫、二〇〇五年)
効く一言
「プロポーズを断わる女性がいるなんて、男性には理解できないでしょうね! 女性は結婚を申し込まれたら、 必ず『はい』と返事をすると、男性は思っているんですもの」
「そうでしょうね!」エマも負けずに大きな声で言った。「プロポーズを断わる女性がいるなんて、男性には理解できないでしょうね! 女性は結婚を申し込まれたら、必ず『はい』と返事をすると、男性は思っているんですもの」
「馬鹿な! 男はそんなこと思ってない。でも、これはどういうことなんだ? ハリエット・スミスがロバート・マーティンを断わった? もしほんとなら、頭がどうかしてる。きみの思い違いじゃないのか?」 (『エマ』、上)
結婚という概念に対する男女差というのは、スライディング逆転をさせると、初体験という概念に対する男女差になるのではないか。 ……というのが友人との女子会で私が気づいた発見である。
はい、意味が分かりますか。説明しますね。意味を分かりたいと思う方だけ以下を読んでください。あ、あとでちゃんと『エマ』の話しますからね。
ジェンダーギャップを消失させる動き激しき昨今。男だからこう考える、女だからこう思う。そんな雑なまとめ方が拒否される、現代社会。
そりゃ女だから文系だとか、男だから理屈っぽいとか、そんなふうにまとめられたら、性格によるやろとツッコミたい。
が、しかし。
二〇一九年になってもなお、(少なくとも私の周りで観測される範囲においては)くっきりと男女で異なる価値観を抱くテーマが存在するんですよ……。
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