ずっと高橋克典のことを考えている

今回取り上げるのは俳優の高橋克典。先日とあるインタビューで今どきの男性に足らないものついて聞かれ、咄嗟に「高橋克典的なもの」と口走ってしまった武田砂鉄さん。その理由について今回は考察します。果たして結論は出るのでしょうか?

不足している「高橋克典的なもの」

ずっと高橋克典のことを考えている、とタイトルにあるが、ずっと、というのは数年や数十年の規模ではなく、この数日の規模にすぎないのだが、ずっとはずっとである。昨年、ある女性誌からZoomでインタビュー取材を受け、そのテーマは「今どき男子のリアル」だった。アンケート結果に基づいて、それぞれ短い感想を述べる取材だったのだが、インタビュアーが比較的近い世代の女性だったからか、今、不足しているのは「高橋克典的なもの」ではないか、という思いつきの指摘に、しっかりと頷いてくれたのだった。後日送られてきた原稿にはその語りはもちろん反映されていなかったが、初対面でZoomという苦手なシチュエーションであっても、間に高橋克典を置けば、スムーズに意思疎通できたのだ。

親が好き、仲間がとにかく大事、その一方で、人と違う意見を言ったり、孤立した状況に置かれたりするのを過剰に警戒する「今どき男子」の傾向を知り、頭に浮かんだのが高橋克典的成分の欠落であった。そもそも、その成分は万人にあらかじめ内在しているものではないのだが、キザでコミカルで、否応無しにその場の自分に注目させる演技は、いわゆる旧来のトレンディドラマとも異なり、いい意味で自己中心的だった。この、「いい意味で」というのはかなり適当に使われる言葉なので、あまり乱用すべきではないのだが、高橋克典の演技にはこの言葉がとてもよく似合う。

高橋克典&中島美嘉『傷だらけのラブソング』

昨年末、TVK(テレビ神奈川)で、20年前のドラマ『傷だらけのラブソング』が再放送されており、思わず見入ってしまった。この再放送にあたり、TVKは、「挫折を経験した男とドロップアウトした少女がお互いの夢を叶えるために反発しあいながらも、やがて心を通わせていく人間味あふれるドラマ」と紹介するツイートをしている。なんとも、無駄のない紹介文である。盗作疑惑で音楽業界を追放された「挫折を経験した男」を演じるのが高橋克典、不良グループの一員だった「ドロップアウトした少女」を演じるのが、この作品でデビューした中島美嘉だ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

武田砂鉄責任編集。多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

KevinMac14YHM Peter Barakanモードとも違う、紹介アーティスト・ジャンルからの曲展開。 6日前 replyretweetfavorite

10ricedar 笑う 「そんなに体が丈夫だっただろうか」🤣🤣🤣🤣🤣 7日前 replyretweetfavorite