新美南吉「心のなかでひやひやしています」

歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉にナイチンゲールまで、人生の苦境で言わずにおれなかった愚痴150篇。女性への未練、お金の無心や仕事の焦り、家族への恨みなど現代人と変わらない不平不満です。読めばなぜか勇気がわいてくる、愚痴ノンフィクション! 10月21日発売の近刊『人間愚痴大全』より特別公開します。(提供元:小学館集英社プロダクション)

20代、仕事にまつわる愚痴

新美南吉(児童文学者)

1913年-1943年。愛知県半田町(現半田市)出身の児童文学者、童話作家。児童文芸雑誌『赤い鳥』に童話や童謡を発表。没後も、童話集『花のき村と盗人たち』『牛をつないだ椿の木』、小説集『花をうめる』、詩集『墓碑銘』などが出された。

人気作家も初の童話集に不安を見せた

日本の童話作家、児童文学者の中で好きな人の名を挙げてほしい、といわれたら……、きっと少なくない人が名作『ごん狐』『手袋を買いに』などで知られる「新美南吉」の名を挙げるのではないだろうか。

その作品に触れた人は、一つひとつの言葉遣いのやさしさ、ストーリー展開の巧みさに心を打たれることだろう。そんな童話の名手新美が、作品集を出版する際には

心のなかでひやひやしています

「もし少年諸君が、これらの物語を読んでちっとも面白く思わないならば、それはすっかり私のおちどになってしまう

などと、あまりに弱気な愚痴をいっている。少々意外ではないだろうか?

新美は、1913年、愛知県に生をうけた。本名を渡辺正八という。4歳で母を亡くし、8歳の時に実母の実家新美家の養子に入る。

10代から童話などを書きはじめ、東京外国語学校在学中に児童文芸雑誌『赤い鳥』に掲載されたのが、有名な『ごん狐』である。一方で在学中に喀血を経験。以降、病との闘いが続いていく。

大学卒業後は、教員などの仕事をしながら、童話や小説などを書き続ける。やがて20代後半から徐々に作品が注目されるようになり、29歳で初めての童話集『おぢいさんのランプ』が出版されることとなったのである。

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なぜか、勇気が出てくる。不平不満の150篇。

人間愚痴大全

福田 智弘
小学館集英社プロダクション
2021-10-21

この連載について

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なぜか勇気が出てくる 人間愚痴大全

福田智弘

「今日も飯はうまくない」「アルコールでごまかすより外なかった」 天才と呼ばれる作家に芸術家、世界を変えた政治家に勇猛な武将まで、歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉に...もっと読む

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コメント

mirumaenitobe 友人のような気がする 4ヶ月前 replyretweetfavorite

fukuda_tomohiro 『ごん狐』『手袋を買いに』などの童話で有名な新美南吉の愚痴です。 (1~2分で読めますよ) https://t.co/rOvuDo8TOs #人間愚痴大全 #新美南吉 #ごんぎつね #手袋を買いに #cakes #愚痴 #童話 #童話作家 4ヶ月前 replyretweetfavorite