紅白歌合戦は「カラフル」だったのか

2022年最初の「ワダアキ考」は、毎年恒例の紅白振り返りです。「カラフル」をテーマにした今回のNHK紅白歌合戦、武田砂鉄さんはどのように見たのでしょうか?

ある一定のドタバタを欲してしまう

今回の紅白歌合戦、会場は東京国際フォーラムだった。何度か会場へ行ったことのある人ならば、「あそこをこうやって使ったのか!」という興奮や理解もあっただろうが、よくわからない人にとっては、それぞれ異なる場所で歌っている感じが例年以上に強かったはず。

会場の中と外、そして、渋谷にあるNHKのスタジオ、事前収録映像などを混ぜ合わせ、次の歌手が登場するまでのドタバタが極力薄められていた。作り上げる側はそれを成功と捉えるのだろうが、視聴者は、少なくとも私は、紅白に対して、ある一定のドタバタを欲している。「演歌歌手の後ろで踊らされているアイドルが、過密スケジュールの中で振り付けを覚えたために、まだ不安定さが残る」という毎年恒例のアレもなかったが、いつも「こういうのやめれば?」と突っ込んできたアレを少しだけ欲してしまうのだから、観る側もいい加減なものである。

鈴木雅之のサングラスに映り込む三山ひろしを見たかった

今年のテーマは「カラフル」で、そこには「多様な価値観を認め合おうという思い」(公式サイトより)が込められていた。「紅組司会」「白組司会」「総合司会」という従来の呼称を全て「司会」に統一したのがその第一歩らしいのだが、特に二歩目はなく、従来通り紅白で採点していた。「カラフル」の流れで取り上げられたキーワードがSDGs。今さらこのレベルから説明するのか、という映像が流れた後に登場したのが、YOASOBI+SDGsこどもユニット・ミドリーズだった。

その横で、子ども相手だろうが、いつものようにリズミカルに体を動かす鈴木雅之と、そのさらに横でけん玉に励む三山ひろしが時折映り込んでいた。多様な価値観というのは、「みんなで認め合う」だけではなく「たとえ、それぞれのやりかたを理解できなかったとしても受け止める」も用意されなければならないのだから、完全に混じるわけではない両者の姿はカラフルだった。「鈴木雅之のサングラスに映り込む三山ひろしを見たかった」とツイートしそうになったものの、それはさすがに個人的な願いに過ぎないと取り下げた。

何食わぬ顔で豪華衣装に戻ってほしい水森かおり
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武田砂鉄責任編集。多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

10ricedar 個人的には、アナウンサーが衣装で、右の肩から肩甲骨にかけてを広く露出しているのが気になった 思考がオバさんなのかもしれない 《 5ヶ月前 replyretweetfavorite

koropanda1 すぎやまこういちのくだりはまじでそれ… 氷川きよしの素晴らしさにも触れてほしいと思ってしまった 5ヶ月前 replyretweetfavorite

kanekoshoukai 録画したのだが、実はまだ見ていない> 5ヶ月前 replyretweetfavorite